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上海米国商会が調査報告書を公表、リスク管理強化や投資戦略調整に取り組む(中国、米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月17日 15時45分

中国の上海米国商会は9月12日、2024年の中国ビジネスに関する報告書の概要を公表した。同報告書は上海米国商会の会員企業(注1)を対象に行われた調査に基づいて作成された。発表によると、2023年の営業利益率が上昇したとの回答割合は40%と、前年の調査結果(37%)から微増した。

2023年の収益については、回答企業の半数が前年比で増加したと回答した。この割合は小売業で最も高く、製造業で最も低かった。2024年の収益見通しについては、前年比で増加すると回答した企業は54%と、前年調査から2ポイント上昇した。他方、今後3~5年間の中国での収益成長率が世界の成長率を上回ると予測した企業は37%にとどまった。また、米中関係の不確実性とマクロ経済の悪化の中で、今後5年間の中国事業の見通しについて楽観的とした企業は47%と、前年調査から5ポイント低下し、調査史上最低(注2)となった。

中国でのビジネス環境について、2024年に外資系企業に対する中国政府の政策や規制が改善され、規制環境の透明性が高まったとの回答割合は高まった(注3)。一方で、地政学的緊張の高まりや、米国大統領選挙の実施を控えた中での貿易摩擦の激化に加え、中国経済の減速もあり、企業はリスク管理を強化し、投資戦略を調整していると指摘した。

リスク管理の強化に関し、回答企業の3分の2以上がデリスキリングに向けた何らかの戦略を実行しているとした。具体的には、36%がサプライチェーンのレジリエンス強化のための投資を行っており、25%が中国と中国以外のデータ情報を分離しているとした。投資戦略の調整に関しては、東南アジアやインドなど他国・地域市場でのビジネスチャンスの拡大を背景として、前年調査に引き続き、40%の企業が投資計画を変更していると回答した。他方で、2024年の対中投資を前年比で減少させた企業は20%で、調査史上最も高い比率(25%)を記録した前年調査からは0.5ポイント低下した。

同商会のエリック・チャン総裁は「会員企業は規制環境の改善に対する中国政府の努力を認めているが、地政学的な不確実性はこれまで以上に重くのしかかっている」と述べた。また、報告書の作成に当たって、分析面で協力しているPwC中国の税務市場リーダーのジェフ・ユアン氏は「外資系企業は経済的な逆風と熾烈(しれつ)な競争激化に直面しているが、国際的な競争力を維持するには、中国にとどまることが極めて重要」とも指摘した。

(注1)この調査では、1,000社以上の上海米国商会会員のうち、306社が回答した。

(注2)同報告書は1999年以降、毎年作成されている。

(注3)対外公表した「概要」では、具体的な数値は公表していない。

(神野可奈子)

(中国、米国)

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