1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

EU、森林破壊防止デューディリジェンス規則の適用1年延期で合意、2025年12月末からに(EU)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月5日 9時55分

EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会は12月3日、森林破壊防止のためのデューディリジェンス義務化に関する規則(2024年3月27日記事参照)改正案の政治合意を発表した(プレスリリース)。改正案(2024年10月7日記事参照)は、規則の適用開始を1年間延期するもので、大企業には2025年12月30日から、中小企業には2026年6月30日から適用することになる。規則を巡っては、事業者や対象産品の生産国のほか、検査を実施する加盟国当局などから準備不足が指摘されていた。欧州委員会は、延期によって実施までに十分な準備期間を確保できるとしている。改正案は今後、両機関による採択を経て施行される。

EPP、修正失敗も引き続き規制対応負担の軽減求める

欧州議会の最大会派で中道右派の欧州人民党(EPP)グループは、規制対応負担が過剰だとして、適用開始の延長だけでなく、デューディリジェンス義務自体を簡素化する改正案の修正案を提案した。他の中道会派は反対したものの、EPPは極右を含む右派の賛同を得ることで、リスクなしと判断された国から対象製品を供給する場合の義務を大幅に緩和する修正案を欧州議会で可決していた(2024年11月18日記事参照)。

その後、EU理事会と欧州議会は修正案に関して交渉に入ったが、加盟国の多くが修正案に反対した。EPPは、適用開始の延期のみでは不十分で、規制対応負担の実質的な軽減が必要と主張し、修正案に反対にする加盟国を強く批判していた。現地報道によると、最終的にEPPは加盟国の説得は困難と判断し、EU理事会と適用開始の延期のみで合意した。政治専門紙「ポリティコ」(11月29日)は、6月の欧州議会選後初となったグリーンディール関連法の緩和を狙うEPPの試みは失敗に終わったと評した。

EPPは、欧州議会選向けのマニフェストで、成立済みでも産業界に過度な負担を強いる法律については、報告要件の簡略化などを図るべきとの立場をとっており(2024年7月10日付地域・分析レポート参照)、同様の動きは今後も続くと予想される。

一方で、欧州委はガイドラインやFAQ(よくある質問)の更新などによる規則の明確化や、さらなる簡素化を検討すると表明し、EU内外の国の森林破壊リスクのレベル分けについては、遅くとも2025年6月30日までに発表するとしている。

(吉沼啓介)

(EU)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください