1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

2025年度国家予算案を国会に提出、財政収支均衡を堅持(アルゼンチン)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月19日 9時50分

添付資料PDFファイル(89 KB)

アルゼンチン政府は9月15日、2025年度国家予算案を国会に提出した。ハビエル・ミレイ大統領は国会で同予算案について演説し、国民や政治家に対して、これまでの慢性的な財政赤字の原因やこれからの国家の役割について説明した。また、予算案の中で、2025年の実質GDP成長率と消費者物価指数(CPI)上昇率の政府見通しを示した。

大統領はまず、どのような経済シナリオであろうと、財政収支を均衡させるため、「いくら使うか」から「いくら節約しなければならないか」から考え、その後に「いくら使うことができるかを考える」という予算編成の方法を用いたと述べた。それにより、財政収支を永遠に均衡させる、経済ショックの影響を(国民ではなく)国家が吸収する、数年後に実現する経済情勢の改善により生じる余剰収入を減税により社会に還元する、という3つの目標の実現を目指すことを明らかにした。

政治家の公共事業を巡る利権と財政赤字の関係にも言及した。公共事業が財政赤字につながり、それが国民を苦しめる一方で政治家の懐を潤すと述べ、かねてミレイ大統領が「カースト」と呼ぶ政治家をあらためて批判した。そのうえで、「国民全体が、国家が国民一人一人の食事から娯楽まで、全ての面倒を見なければならないと考えることに慣れてしまっているが、国家が行うべきはマクロ経済の安定、外交、法の支配を確保することであり、それ以外の問題は、市場を通じて解決することができる」と述べ、小さな政府を目指す方向性を示した。

予算案では、2024年度の基礎的財政収支はGDP比1.5%、2025年度は同1.3%の黒字を見込んでいる。また、パイス税(注)を2024年12月に終了し、延長しないことを前提にしており、財源としてパイス税は組み込まれていない。IMFやパリクラブへの返済も粛々と行い、これらの機関からの新たな借り入れを前提としていない。

予算案は、2025年から2027年までのマクロ経済の見通しを示している(添付資料表参照)。2025年の実質GDP成長率の見通しは、前年比5.0%、CPI上昇率は前年比18.3%、対ドル為替レートは1ドル=1,207ペソとなっており、政府は、高成長や物価と為替レートの安定を前提に予算案を作成している。なお、為替レートは、インフレ抑制のため、為替を月2%切り下げる方針を示しているものの、切り下げ速度は減速している。

現地証券会社コエンは予算案について、マクロ経済の前提は過度に楽観的であるように思われるが、ミレイ政権の経済計画の主軸である財政問題においては良い兆候がみられると評価している。

(注)財およびサービスの輸入代金の支払いに必要な外貨購入時に課される税。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください