トランプ米次期大統領、経済諮問委員長に投資会社ストラテジストのミラン氏指名(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月27日 10時0分
米国のドナルド・トランプ次期大統領は12月22日、大統領経済諮問委員会(CEA)の委員長に、ニューヨークのシンクタンク、マンハッタン研究所のフェローで、投資会社ハドソン・ベイ・キャピタル・マネジメントのシニアストラテジストのスティーブン・ミラン氏を指名すると発表した。同氏はトランプ政権1期目で、財務省の上級顧問を務めた。
CEAは、大統領に対して経済政策の助言を行うほか、毎年、政権の国内外に対する経済政策と米国の経済情勢に関する判断を示す「大統領経済報告書(ERP)」を作成する。ERPは、一般教書、予算教書と並び、米国3大教書に位置付けられる。
ミラン氏は「関税の熱心な擁護者」とみられている(米国通商専門誌「インサイドUSトレード」12月24日)。同氏は11月、投資関連情報誌「バロンズ」に、ハドソン・ベイ・キャピタル・マネジメントの最高経営責任者(CEO)とともに寄稿し、トランプ氏が政権1期目に課した中国原産品や鉄鋼・アルミニウム製品に対する追加関税について(注)、「これらの政策は、これまでのコンセンサスを打ち砕いた。関税はうまく活用すれば、2017年税制改革法(TCJA)の3分の1に相当する財源を調達できるなど、目立ったインフレの上昇なく効果的に歳入を増やすことができる」との見解を示した。また「トランプ氏の再選から数日後、EUは天然ガスの購入先をロシアから米国に切り替え、今後予定されている関税負担を軽減するための交渉を行う用意があることを示唆した」とも述べ、関税を各国・地域との交渉材料とする見方も示している。ただし、関税政策の実行に伴う「望ましくない金融市場の変動」は回避すべきだとして、例えば、中国からの輸入に対する60%の関税は、関税率を毎月2%引き上げるなど段階的に行うべきだと、慎重な一面も見せている(「インサイドUSトレード」12月24日)。
トランプ氏が指名した政権幹部のうち、商務長官候補のハワード・ラトニック氏(2024年11月20日記事参照)や、米国通商代表部(USTR)代表候補のジェミソン・グリア氏(2024年11月28日記事参照)、ピーター・ナバロ上級顧問(通商・製造業担当、2024年12月5日記事参照)らは、トランプ氏の強硬な関税政策を支持しているとされる。一方で、財務長官候補のスコット・ベッセント氏(2024年11月26日記事参照)や、ケビン・ハセット国家経済会議(NEC)委員長は、関税は段階的に導入すべきなど、比較的慎重な立場だとされている。
(注)トランプ政権1期目の関税政策の実績や今後の見通しについては、2024年12月10日付地域・分析レポート参照。
(赤平大寿)
(米国)
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