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米メディアABC、ハリス氏とトランプ氏による大統領候補討論会のルールを発表(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月9日 10時20分

米国メディアのABCニュースは9月4日、同局主催で9月10日にペンシルベニア州フィラデルフィアで行う大統領候補による討論会について、民主党のカマラ・ハリス副大統領と共和党のドナルド・トランプ前大統領が参加基準を満たしたこと、両者が討論会のルールを承諾したことを発表した。ABCニュースは8月に、ハリス氏とトランプ氏が討論会の参加に合意したと発表していた(2024年8月9日記事参照)。

討論会の参加資格は、6月に行われた米国メディアCNN主催のジョー・バイデン大統領とトランプ氏の討論会と同様(2024年7月1日記事参照)、合衆国憲法第2章第1条が定める大統領選挙参加資格を満たしていることや、ABCニュースの基準を満たす4つの世論調査で少なくとも15%の支持を得ていること、主催者が策定した討論会のルールと形式を受け入れること、などと定められていた。今回発表されたルールも、6月の討論会とほぼ同様となっている。主な内容は次のとおり。

ディベートの時間は、2回のCMを挟んで90分。
司会は同局の「ワールド・ニュース・トゥナイト」のアンカーを務めるデビッド・ミュアー氏と「ニュース・ライブ・プライム」のアンカーを務めるリンゼイ・デイビス氏の2人。
開始時のスピーチはなく、討論後のスピーチは1候補につき2分間。
9月3日にコイントスが行われ、トランプ氏が勝利。同氏は討論後に行われるスピーチをハリス氏の後にすることを選び、ハリス氏は視聴者から見て右側(ステージ左側)の演壇位置を選んだ。
備品や事前に書いたメモを壇上に置くことは許されない。
テーマや質問は、選挙陣営や候補者と事前に共有されない。
候補者にはペン、メモ用紙、水1本が渡される。
候補者の持ち時間は、質問に対する回答が2分、それに対する反論が2分、補足説明などのために1分が与えられる。
候補者が発言する際には、もう一方の候補者のマイクはミュートされる。
候補者同士は質問できない。
各候補のスタッフは、CM中に候補者と話すことができない。
会場には聴衆は入らない。

トランプ氏は過去に、他の候補者の発言を遮ったり、自身の持ち時間を超過して発言を続けたりしたことなどから、発言時以外はマイクがミュートされるルールは同氏にとって不利になると目されていた。だが6月の討論会では、マイクのミュートルールによって、トランプ氏が落ち着いて見えたとの好意的な評価も一定数あった。今回、ハリス陣営はマイクのルールに対して、「元検察官であるハリス氏が、トランプ氏との直接のやり取りを防ぐ形式によって不利になる」と反対していた(CNN9月5日)。一方で、ハリス氏はウィスコンシン州で開催した初めての選挙キャンペーンで「検察官として、多くの犯罪者と相対してきた」と、当初からトランプ氏との直接対決に自信ものぞかせていた(注)。

民主党の大統領候補は、6月の討論会をきっかけにバイデン氏からハリス氏に交代した。9月にはノースカロライナ州、ペンシルベニア州、ミシガン州など激戦州を含む複数の州で、期日前投票や郵便投票が始まることから、「有権者は討論会後すぐに投票用紙に記入する可能性がある」との指摘もあり、初めての直接対決は今後の選挙戦に大きな影響を与える可能性がある。

なお両者は、ABCニュース主催に加え、もう1回討論会を行うことに同意しているが(2024年8月16日記事参照)、詳細は発表されていない。

(注)トランプ氏は不倫口止め料の不正会計処理などで、ニューヨーク州最高裁判所の陪審員から有罪評決を受けたほか(2024年5月31日記事参照)、3つの刑事事件を抱えている(2024年7月2日記事参照)。

(赤平大寿)

(米国)

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