ウズベキスタン初の原発、ロシアが建設へ(ロシア、ウズベキスタン、インド、バングラデシュ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月29日 14時55分
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領のウズベキスタン訪問に合わせ、ロシア国営原子力会社ロスアトムのエンジニアリング部門であるアトムストロイエクスポルトとウズベキスタン原子力エネルギー発展庁(ウズアトム)付属原子力発電所建設総局は5月27日、ウズベキスタンにおける小容量原子力発電所の建設に関する契約を締結した。
ロシアの設計に基づき、ウズベキスタンのジザク州に小容量原電が建設される。ロスアトムのアレクセイ・リハチョフ社長は今回の契約を通じて、ロシアの「原子力発電産業における揺るぎない世界的リーダーシップを確認」し、「今年の夏には直ちに建設を開始する予定」とコメントした。同発電所はウズベキスタンで初の原発となる。
ウズベキスタンにおける原発新設の背景には、ウズベキスタンを悩ませる電力不足の事情があるとみられる。かねて有数の天然ガスの産地だったウズベキスタンは、同国における発電の88.1%(注)を天然ガスに頼っている。しかし、近年では経済成長や国産天然ガス産出量の減少に伴い、天然ガスおよび電力の不足が深刻化しており、特に2022年から2023年の冬季の大寒波襲来時にはその問題が露呈した(2023年2月2日記事参照)。原子力発電のほかにも、ロシアから天然ガスを購入し国内の天然ガスを補填(ほてん)する試み(2023年6月26日記事参照)や、他の中央アジア諸国と連携し水力発電所建設を通じて電力不足を補う動きもある(2023年1月16日記事参照)。
ロシアにとって、原発関連技術は重要な輸出品目の1つ。ロシアはウズベキスタン以外の外国にも輸出を果たしており、特にインドやバングラデシュといった南アジアで同分野での影響力を高めている。ニューデリーで開催された第16回ロシア・インド首脳会議の開催にあたり、ロシア・インド両国は2023年10月5日に、インドでの新規原発建設に関する協力文書に署名している。そのほか、ロスアトムがバングラデシュ初の原発であるルプール原発を建設し、2023年10月5日には1号機用の初装荷燃料がバングラデシュに到着している。
(注)出所:国際エネルギー機関(IEA)、2021年。
(後藤大輝)
(ロシア、ウズベキスタン、インド、バングラデシュ)
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