スリランカ国会議員選挙、与党NPPが3分の2超の議席を獲得し圧勝(スリランカ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月18日 15時35分
スリランカで11月14日、国会議員選挙(1院制、定数225、任期5年)が実施され、即日開票が行われた。同国選挙管理委員会は15日、アヌラ・クマーラ・ディサーナーヤカ大統領が率いる国民の力(NPP)が、159議席を獲得したと発表した。最大勢力だったスリランカ人民党(SLPP)は、議会解散前の145議席から3議席に後退し、ラニル・ウィクラマシンハ前大統領を中心とする新民主戦線(NDF)は5議席にとどまった。サジット・プレマダーサ氏が党首を務める統一人民戦線(SJB)は40議席を獲得し、第2党となった。投票率は68.9%だった。
NPPは、解散前は3議席だったが、法案や予算の議決に必要な過半数を超えて憲法改正に必要な3分の2を上回る議席を確保し、政権基盤を固めた。ディサーナーヤカ大統領が9月の大統領選挙(2024年9月24日記事参照)で発表した公約では、現憲法が定める大統領に権力が集中する執行大統領制を、国民投票を経て廃止するとしている。
NPPは今回の選挙で686万8,136票を獲得し、ディサーナーヤカ大統領が大統領選の1回目の集計(注)で得た563万4,915票を上回った。国民は、NPPが従来主張してきた汚職の根絶や公正な富の配分による政治刷新に期待を寄せるとともに、9月に発足した現政権の運営を高く評価したといえる。現政権は、遅滞していた旅券の発給再開、ビザ申請用ウェブサイトの運用再開(2024年10月7日記事参照)、過去の政府高官による公用車不正使用への調査などを実現している。加えて、野党の低調な選挙運動がNPPの躍進につながった。
ディサーナーヤカ政権は、2024年末にかけて2025年予算の編成に取り組む。スリランカは2022年春に外貨不足に起因する経済危機に直面し、現在ではIMFなど国際機関からの支援を通じて経済再建を進めている。同政権はIMFの金融支援プログラムで設定された債務持続可能性に関する目標(2023年4月5日記事参照)を順守しつつ、財政再建の一環として実施された付加価値税や所得税の引き上げによる国民負担の軽減を模索していく構えだ(2024年10月8日記事参照)。
選挙前にコロンボ近郊で開催されたNPPの集会(ジェトロ撮影)
(注)スリランカの大統領選では、有権者は選好順位をつけて最大3人の候補者に投票できる。9月の大統領選では、1回目の集計で「第1選好」の過半数を獲得した候補者がいなかったため、2回目の集計では、「第1選好」で3位以下の下位候補者の得票の中から、「第2選好」または「第3選好」で1位または2位の上位候補者を選択した票を上位候補者に加算し、1回目の集計と2回目の集計の合計得票数が最も多いディサーナーヤカ氏が当選した。
(大井裕貴)
(スリランカ)
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