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マクロン大統領、新首相にバルニエ氏を任命(フランス)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月9日 13時15分

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は9月5日、新首相に中道右派「共和党」出身のミシェル・バルニエ氏を任命した。73歳のバルニエ氏はこれまで下院議員として、環境相や外相などの閣僚として、さらに欧州委員会の委員として、長く豊富な経験がある。英国のEU離脱ではEU側の首席交渉官を務め、困難で長期にわたる交渉をまとめ上げた実績を持つ。

マクロン大統領が6月の欧州議会選挙の結果を受けて実施した下院の解散総選挙では、単独過半数の議席を獲得した勢力がなく、首相選びは難航した(2024年7月9日記事参照)。マクロン大統領は極左「不服従のフランス(LFI)」および極右「国民連合(RN)」を除いた、穏健左派・中道・中道右派政党から成る連立政権の形成を求めて複数の候補者を検討したが、安定した議会運営を可能にする十分な基盤を確保するめどが立たず、指名が見送られてきた。今回、下院選挙から50日余りを経てようやくバルニエ氏任命で落ち着いた。

経済紙レゼコー(9月5日付電子版)は、下院での信任投票でRNから不信任案に合流しない約束を取り付けたことが決め手になったと指摘した。RNのジョルダン・バルデラ党首は同日、自身のX(旧Twitter)で「(新首相の)施政方針演説、予算配分、そして行動を実際に見て判断する」と述べ、今後数週間はあらゆる政治的手段を留保する方針を明らかにした。

これに対し、下院で最大勢力となった左派連合「新民衆戦線(NFP)」を構成する各党が一斉に反発。「社会党」のオリビエ・フォール書記長は同日、「極右主導の政治は受け入れられない」として不信任案を提出する意向を示した。LFIを率いるジャン=リュック・メランション氏は「マクロン大統領は正式に下院選挙の結果を否定した。選挙を盗んだ」と強く批判し、マクロン大統領の罷免を求めて9月7日のデモへの大規模な動員を呼びかけた。

NFPは下院選挙後、統一首相候補に官僚出身のリュシー・カステ氏を擁立し、マクロン大統領に任命を迫ったが、大統領は8月26日、カステ氏を指名しても他のすべての政党によって直ちに不信任案が可決されるのは不可避だとして、政治の安定性を維持するため、カステ氏の指名を見送ると発表していた。

バルニエ新首相は9月6日、「共和党」のトップと会談するなど閣僚人事に着手した。近日中に閣僚リストが公表され、第1次バルニエ内閣が発足する予定だ。

(山崎あき)

(フランス)

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