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米民主党が政策綱領草案を発表、トランプ氏との違いに焦点(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月17日 11時50分

米国の民主党全国委員会(DNC)は7月13日、同党の政策綱領の草案を発表した。草案は政策分野ごとに、これまでのバイデン政権の実績と今後の方針を記載した後、保守系シンクタンクのヘリテージ財団が主導する「プロジェクト2025」(注1)で記載された政策方針に言及し、保守派の支持を受けるドナルド・トランプ前大統領との違いを際立たせる構成となっている。

草案の冒頭では、政策綱領では経済成長から家庭のコスト削減、気候危機への取り組みとエネルギー自給の確保、人種間の貧富の格差是正と中小企業への投資、人工妊娠中絶問題の「ロー対ウェイド裁判」(2022年6月27日記事参照)の復権、銃乱射の惨禍から地域社会や全ての米国人の自由の保護、国境の安全確保と世界における米国のリーダーシップの強化など、民主党の優先課題に焦点を当てたと記した。具体的な方針は次のとおり。

ボトムアップ(貧困層支援による下支え)とミドルアウト(中産階級支援による購買活性化)による経済成長:製造業を復活させ、インフラを再構築するため「インベスティング・イン・アメリカ」の実施を加速。より良い賃金、手当、労働条件を求めて団結する権利を全ての人に与える団結権保護(PRO)法の成立、連邦最低賃金の時給15ドルへの引き上げなど。
富ではなく仕事に報いる:児童税額控除と所得税額控除の復活・恒久化などによる勤労者世帯の減税や法人税率の引き上げなど。
コスト削減:1人当たりの医療保険料を年平均800ドル削減したように、継続して医療費削減を行うことなど。
気候危機への対処、エネルギーコストの削減、エネルギー自給の確保:インフレ削減法(IRA)による太陽光発電、風力発電、地熱発電プロジェクトの規模拡大や、クリーンエネルギーの研究開発への投資拡大など。
地域社会保護と銃暴力対策:身元調査の徹底、安全な保管要件、殺傷能力のある武器や大容量弾倉の禁止など。
民主主義の強化、自由の保護、公平性の推進:リプロダクティブライツ(性と生殖に関する権利)の回復、ロー対ウェイド判決を成文化する法律の成立、避妊へのアクセス強化、体外受精(IVF)を受ける女性の権利保護、食品医薬品局(FDA)が承認した中絶薬へのアクセス支援など。
国境の安全確保と破綻した移民制度の修正:国境の安全確保、亡命制度の改革、合法移民の拡大、ドリーマー(注2)を含む非正規滞在者の長期支援による家族の絆の保護を含む法律の成立など。
統一アジェンダ:オピオイドの過剰摂取抑制、メンタルヘルスケアへのアクセス拡大など。
世界における米国のリーダーシップ強化:NATO強化、ウクライナ支援、中国との関係の責任ある管理、中東の持続的な和平への引き続きのコミットなど。

この草案は、DNCの政策綱領委員会による承認後、8月の民主党全国大会で同党の政策綱領として正式に採択される。なお、共和党は7月8日に政策綱領を発表しており(2024年7月9日記事参照)、共和党全国大会の初日の7月15日に正式に採択している(2024年7月16日記事参照)。

ジェトロの特集ページ「2024年米国大統領選挙に向けての動き」では、大統領選挙に関する最新動向を随時紹介している。

(注1)ただし、トランプ氏自身はプロジェクト2025とは関係ないと述べるなど、公には一定の距離を保っているとされる。

(注2)幼少期に親などとともに不法に米国に入国した移民の通称。

(赤平大寿)

(米国)

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