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8月の米個人消費支出デフレーターは前年同月比2.2%増に低下、消費・所得も弱い伸び(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月30日 14時40分

添付資料PDFファイル(153 KB)

米国商務省は9月27日、8月の個人消費支出(PCE)を公表した。所得関連では、貯蓄への下押しが見られ、個人消費支出も、前月の自動車関連の特殊要因が剥落して、弱い伸びとなるなど、消費を取り巻く環境は引き続き低調だった。PCEデフレーターは、住居費など粘着質な項目でインフレ抑制の進展はわずかだったものの、ガソリンなど主に財の価格低下が寄与して、全体としては低下した。なお、8月は所得と消費関連の指標について、年次改定の結果が反映されている。

所得関連では、個人所得が名目ベースで前月比0.2%増(前月0.3%増)と、市場予測の0.4%増を下回った。雇用者報酬が0.5%増(寄与度0.3ポイント)と伸びたものの、利息・配当が0.5%減(マイナス0.1ポイント)となったことが要因だ(添付資料表1参照)。

税を除いた可処分所得は、名目ベースで0.2%増、実質ベースで0.1%増と、ともに前月からほぼ横ばいだった。名目可処分所得の使途をみると、消費支出が0.2%増(寄与度0.2ポイント)、利払い費が0.1%増(0.0ポイント)、貯蓄が1.3%減(マイナス0.1ポイント)となっている。消費の伸びは前月から低下したが、貯蓄への下押しを伴うものとなっており、フロー面での家計の状況は前月と同様に、良好とは言い難い。なお、貯蓄率は、基準改定を受けて、新型コロナウイルス禍前よりもやや低い水準ではあるものの、前月の数値が2.9%から4.9%に大きく上方修正され、8月も4.8%となっている。

名目個人消費支出(前月比0.2%増)の内訳をみると、押し上げに寄与したのはサービス部門(寄与度0.3ポイント)で、住居費(0.07ポイント)、金融・保険(0.06ポイント)、レクリエーション(0.05ポイント)など。財部門は、前月の自動車関連での特殊要因(2024年9月2日記事参照)の剥落などの影響を受け、低調だった。実質ベースでの個人消費支出は0.1%増。自動車(マイナス0.07ポイント)や非耐久財など財部門でのマイナスが目立つ(添付資料表2参照)。

物価関連では、PCEデフレーターは前年同月比2.2%増(前月2.5%増)、前月比では0.1%増(0.2%増)といずれも低下した。食料・エネルギーを除くコア指数の伸びは前月比では0.1%増(前月0.2%増)と低下したものの、前年同月比では2.7%増(前月2.6%増)と伸びが加速した。市場予想は、前年同月比ではPCEデフレーターが2.3%増、コア指数が2.7%増で、ほぼ一致した。前年同月比の内訳では、ガソリン(10.1%減)や財部門(食品・エネルギーを除く、0.5%減)が押し下げに寄与した。ただし、住居費(5.0%増)、金融・保険(5.0%増)などサービス部門(3.7%増)はほとんど低下しておらず、コア指数の低下を妨げる要因となっている(添付資料表3参照)。

今回の結果については、インフレ率の低下がおおむね市場予想と一致するかたちで低下傾向にあることや、消費や所得が比較的軟調だったことから、米国連邦準備制度理事会(FRB)の利下げを支持する結果になったとの見方が強い。ブルームバーグ・エコノミクスのスチュアート・ポール氏らは「個人所得、支出、インフレのデータの下振れは、今月初めに政策金利を50ベーシスポイント引き下げたFRBの決定を裏付けている。所得の伸びは鈍化しており、消費者の支出に対する選別が進んでいる。基調的なインフレ圧力が弱まるにつれて、FRBはデュアル・マンデート(物価安定と雇用の最大化)のうち雇用の側面をますます重視するようになるだろう」と述べた(ブルームバーグ9月27日)。

(加藤翔一)

(米国)

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