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プラスチック製保存容器の米タッパーウェア、破産法第11章の適用申請(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月25日 10時55分

米国プラスチック製保存容器のタッパーウェア・ブランズ(本社:フロリダ州オーランド市)は9月17日、米国連邦破産法第11章(Chapter 11、日本の民事再生法に相当)の適用を申請したと発表した。同社の発表によると、破産手続き中も営業を継続するための裁判所の許可を求めており、販売コンサルタントなどを通じて製品の販売を継続する意向だ。

1946年創業のタッパーウェア・ブランズは、化学者のアール・タッパー氏が、第二次世界大戦後、一般家庭の人々が、食品の鮮度をより長く保つことで倹約できるよう、気密性の高いプラスチック製の密閉容器を開発したことをきっかけに設立された。タッパーウェアの販売員がホスト役の自宅に訪問し、ホームパーティー形式で製品の魅力をアピールする販売方法(タッパーウェア・パーティー)を武器として、家庭と仕事の両立で追加所得を求める女性を中心としたマーケティング戦略が功を奏し、1950年代に急速な成長を遂げ、長年にわたってプラスチック製保存容器の代名詞的存在として知られるようになった(「ウォールストリート・ジャーナル」紙9月18日)。

しかし近年は、他社の低価格品との競争が激化したほか、かつて同社の売り上げの大半を占めた消費者に直接販売する事業モデルが、オンライン購入の比率を高めている消費者の購買行動と合致しなくなりつつあり、販売が低迷していた。また、消費者のプラスチックに対する公衆衛生や環境への懸念が高まった、ここ数年の「厳しいミクロ経済環境」による財務上の苦境も原因となった(AP通信9月18日)。

調査会社グローバルデータのマネジングディレクターのニール・サンダース氏も、物価高の中で消費者は安価な代替品を求めていると指摘し、「Temu(テム)のような安価なプラットフォームの台頭や、ターゲットのような小売業者が自社で家庭用収納用品やキッチン用品のブランドでより革新的になったことで、近年は競争が激化していた」と述べた(「ワシントン・ポスト」紙9月18日)。

米国では消費者の節約志向が高まる中、多くの企業が苦境に立たされており、これまでにも2024年4月には衣料品大手のエクスプレス(2024年4月25日記事参照)、9月には家庭用品のディスカウント大手ビッグ・ロッツも破産法第11章の適用を申請している(2024年9月18日記事参照)。調査会社コアサイト・リサーチによると、2024年初頭から8カ月間の小売店の閉店店舗数は4,548店舗に上り、開店店舗数の4,426店を上回っている。2024年の開店店舗数は前年比0.1%未満の増加率で2023年とほぼ同水準で推移している一方、閉店店舗数は同31.4%増となっており、他社との差別化に苦戦する企業は厳しい状況に置かれている(「ヤフーファイナンス」8月14日)。

(樫葉さくら)

(米国)

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