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WIIW夏季経済予測、中・東欧と西バルカン諸国は回復傾向(中・東欧、西バルカン、オーストリア、ロシア、ウクライナ、中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月25日 0時5分

添付資料PDFファイル(168 KB)

ウィーン比較経済研究所(WIIW)は7月2日、中・東欧と西バルカン諸国の夏季経済予測を発表した。春季予測(2024年5月15日付地域・分析レポート参照)と比べて、対象国の多くで回復傾向となった。「可処分所得の相当な部分が貯金されるとしても、実質賃金の上昇による個人消費の拡大が成長の主な原動力となる」と同予測の首席担当者のバシリー・アストロフ研究員は記者会見で解説した。「それとは対照的に、当該地域のEU加盟国の産業は依然として停滞している。ドイツの産業は不況に陥っているため、ドイツの産業クラスターに属している国(特にビシェグラード4カ国、注1)の成長幅は限られている」とアストロフ氏は述べた。

中・東欧のEU加盟11カ国のGDP成長率の平均は、2024年に2.6%、2025年に3.0%となり、ユーロ圏(それぞれ0.6%、1.6%)を大幅に上回る。ポーランド(それぞれ3.3%、3.6%)の成長率が最も高く、ルーマニア、クロアチアも2024年に平均以上に上昇するとみられる。西バルカン6カ国の2024年の平均経済成長率は、3.2%になる見通しだ(添付資料表1参照)。

ウクライナの2024年のGDP成長率は前回予測より0.5ポイント低い、2.7%に下方修正された。ロシアの空爆によるエネルギー・インフラの破壊はウクライナ経済の回復を妨げる。一方、ロシアの2024年の成長率予測は、前回より0.4ポイント増の3.2%に上方修正された。戦争への莫大(ばくだい)な政府支出(連邦予算の3分の1、GDPの6%)は景気の追い風になっている(注2)。軍人の高い給料と傷病兵や戦没者遺族への補償給付によって(もともと低所得層の)市民の購買力が上昇するため、戦争への支持も高まる、とアストロフ研究員は指摘する。

WIIWは、オーストリアと緊密な経済関係を維持するビシェグラード4カ国や西バルカン諸国が、停滞するオーストリア経済を支えると分析。2023年の対中・東欧直接投資(発表されたプロジェクトベース)では、オーストリアの不振が反映されている。オーストリア企業は同地域で合計50件、投資額13億ユーロの投資プロジェクトを発表した。それとは対照的に、中国の対中・東欧投資案件は64件、投資額は210億ユーロに拡大した。これは、ドイツの同地域への投資額(130億ユーロ)も大幅に上回る。なお、2023年実績ベースでは、オーストリアの対中・東欧直接投資は中国より多いが、中国は近年の投資額の増加が著しい(添付資料表2、表3参照)。主な投資案件はハンガリーにおける電気自動車(EV)やEV用バッテリーの工場の進出だ(2023年8月1日記事参照2024年1月4日記事参照)。

(注1)ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリーの中・東欧4カ国。

(注2)WIIWが7月8日に発表した調査結果によると、西側諸国による対ロシア経済制裁は、ロシアの戦争遂行能力をそぐ効果はこれまでのところほとんどみられない。

(エッカート・デアシュミット)

(中・東欧、西バルカン、オーストリア、ロシア、ウクライナ、中国)

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