新たな産業政策の「5大信頼産業推進政策」を発表(台湾)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月25日 10時10分
台湾の国家発展委員会は9月5日、頼清徳総統就任後の新たな経済政策である「5大信頼産業推進方案」の詳細を発表した。対象とするのは、半導体、人工知能(AI)、軍事産業、セキュリティー産業、次世代通信の5つだ。蔡英文政権時代の産業政策である6大核心戦略産業(対象は情報通信、戦略的備蓄、サイバーセキュリティー、バイオ・医療、防衛、グリーンエネルギー)を引き継ぎつつ、半導体とAIを一層強化する内容となっている(添付資料参照)。
半導体については、ファウンドリーとパッケージ産業において世界をリードする地位を維持し、半導体産業全体の新規生産額を2兆6,000億台湾元(約11兆4,400億円、1台湾元=約4.4円)にし、給与水準の高い就業機会を25万人増やすとした。政策として、先端IC設計の人材育成を推進し、研究開発の補助を行う。
AIについては、AIなどのデジタル産業の生産額を2026年に1兆台湾元突破を目標とするほか、今後4年以内にデジタル人材を20万人育成するとした。そのため、国家発展基金による関連産業への投資やデジタル発展部による100億台湾元の投資プロジェクトを企画する。
軍事産業では、ドローン産業を重点とし、2028年までに生産額を300億台湾元に引き上げるとした。非レッドサプライチェーン(注)に対する需要に応え、国際協力を推進し技術を導入することでビジネスチャンスを広げる。中部の嘉義市にドローンのスタートアップハブを設立し、生産クラスターを集積させる。
セキュリティー産業では、情報セキュリティー産業の生産額を1,000億台湾元、セキュリティー産業の生産額を300億台湾元以上に引き上げるとした。関連企業が量子暗号技術などの先端技術を開発することをサポートする。
次世代通信では、6G(第6世代移動通信システム)基地局のソフトウエア、ハードウエアの自主生産率80%を目指すとした。自主開発を進めるとともに、世界の主要サプライヤーと連携する。
卓栄泰行政院長は発表に際し、「本方案はグローバルサプライチェーンにおける台湾の地位を強化するものであり、今後は経済部、国家科学技術委員会など関連部署が連携して産業・企業との協力を強化していく」とした。
(注)中国大陸やその企業を含まないサプライチェーンのこと。
(江田真由美)
(台湾)
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