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日系製造業の投資登録証明書(IRC)更新に支障、生産設備の経年使用基準が妨げに(ベトナム、日本)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月12日 1時10分

ベトナムで長年操業する日系製造業の一部が事業継続に当たって、困難を抱えている。

外国企業が投資する際にベトナム当局から発行される投資登録証明書(IRC:Investment Registration Certificate)には、プロジェクトの実施期間(有効期限)が明記されるが、この期間の延長(更新)申請で、ベトナムの投資法令で定められた機械設備に関する条項が妨げとなっているためだ。

具体的には、投資法(61/2020/QH14)の施行規則となる政令31号(31/2021/ND-CP)の第27条10項b(注)では、HSコード84類と85類に属する製品(一般機械・電気機器およびそれらの部品が該当)を生産する投資プロジェクトで、設備年齢10年以上経過した機械設備を使用する場合、環境汚染や資源の乱用につながる危険があるため、プロジェクト期間の延長を原則不可と規定している。例外として、10年以上経過した機械設備でも、科学技術省が定める条件を満たせば、延長を許可できるとしている。

しかし、11月時点では、その条件などを規定する科学技術省のガイダンスが未発行で、制定にはまだ時間がかかるとみられる。このため、現状、前述の条件に該当し、プロジェクト期間が近く満了する予定の企業は、古い機械設備を設備年齢10年以内のものに入れ替えなければ、IRCを更新できないことになる。

ベトナム日本商工会議所(JCCI)と在ベトナム日本大使館はベトナム政府に対し、政令31号の一部改正や、科学技術省のガイダンス制定までの間の当該条項適用の猶予措置などを繰り返し要請しているが、前向きな回答は得られていない。法令の改正や運用の変更に当たっては、投資法令を所管する計画投資省、機械設備の使用条件を定める科学技術省など、関係省庁間の調整が必要となるが、その協議にも時間がかかる見込みだ。

JCCIによると、1990年代中盤に進出した多くの外国企業(日系企業を含む)が2025年以降にプロジェクト期間の満了を迎え、この問題に直面する恐れがあるという。ガイダンス制定の遅れなどがあれば、影響はさらに大きくなる。

なお、IRCは外国企業特有の行政手続きとなる。地場企業はIRCに関する手続きが不要なため、古い機械設備などに関連した生産活動の規制を受けることはない。

(注)日本の法務省が投資法61/2020/QH14の仮訳、国際協力機構(JICA)が政令31号(31/2021/ND-CP)の仮訳をそれぞれウェブサイトで公開している。

(萩原遼太朗)

(ベトナム、日本)

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