トランプ氏、国務長官にルビオ上院議員、規制緩和など政府効率化の担当にマスク氏らを指名(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月14日 11時30分
米国大統領選挙で勝利したドナルド・トランプ前大統領による、次期政権の閣僚人事の発表が続いている。トランプ氏は11月12日、新設する「政府効率化省(DOGE)」のトップに、共に実業家のイーロン・マスク氏とビベク・ラマスワミ氏を指名すると発表した。11月13日には、国務長官にマルコ・ルビオ上院議員(共和党、フロリダ州)を指名すると発表した。
トランプ氏の声明によると、DOGEは「過剰な規制を廃止し、無駄な支出を削減し、連邦政府機関を再編」することを目的としている。共和党の政策綱領では、「エネルギー生産に対する規制撤廃」「自動車産業に対する有害な規制の撤回」「無駄な連邦支出の削減」などがうたわれている(注1)。DOGEを率いる、電気自動車(EV)大手テスラの最高経営責任者(CEO)のマスク氏は、民主党の支持者として知られてきたが、ジョー・バイデン大統領の再選に反対する意向を示した後、2024年7月にトランプ氏支持を表明していた(2024年7月16日記事参照)。バイオテックとヘルスケアの企業を経営する実業家のラマスワミ氏は、共和党の大統領候補として立候補していたが、2024年1月に行われた予備選初戦のアイオワ州の結果を受けて撤退を表明し(2024年1月24日記事参照)、その後、トランプ氏支持を表明していた。共和党は伝統的に政府支出を抑える「小さな政府」を志向しており、トランプ氏はこの「共和党の政治家の長年の夢」を実現するために、民間出身の2人が率いるDOGEが「政府の外からアドバイスをし」大規模な構造改革を実行するとしている。
国務長官に指名したルビオ氏について、トランプ氏は「米国の強力な擁護者であり、同盟国の真の友で、敵対国には決して屈しない恐れを知らない戦士」と称した。ルビオ氏は、キューバからの移民を両親に持つ。対中強硬派として知られ、新疆ウイグル自治区からの輸入品は強制労働によって生産されたとの推定の下で、同自治区が関与する産品の輸入を原則禁止するウイグル強制労働防止法(UFLPA、注2)の成立を上院で主導した。共和党の政策綱領では、UFLPAや中国での人権問題については明記されていないが、「恒久的正常貿易関係(PNTR)の撤回」「必要不可欠な中国製品の輸入を段階的に停止」といった、中国に対する強い姿勢がうたわれている。
トランプ氏はそのほか、国防長官に元軍人のピート・ヘグセス氏、司法長官にマット・ゲーツ下院議員(共和党、フロリダ州)、国家情報長官(DNI)にトゥルシ・ギャバード元民主党下院議員(ハワイ州、注3)、中央情報局(CIA)長官に元DNIのジョン・ラトクリフ氏、駐イスラエル大使に元アーカンソー州知事(共和党)のマイク・ハッカビー氏を指名すると発表した。
(注1)共和党の政策綱領を基にした、トランプ氏の政策については、2024年8月9日付地域・分析レポート、2024年9月6日付地域・分析レポート、および2024年7月9日記事参照。
(注2)UFLPAについては、ジェトロの特集ページ参照。
(注3)ギャバード氏は、2020年の大統領選に向けて民主党から立候補した後、2022年に民主党を離党している。
(赤平大寿)
(米国)
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