信州大発ベンチャーMorus、蚕由来食品をシンガポールから世界へ(シンガポール、日本)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月1日 0時20分
信州大学発のスタートアップ、Morus(モルス、本社:東京都品川区)は6月25日、蚕由来の代替タンパク質原料「MorSilk」を、シンガポールを拠点に海外販売する計画を発表した。
蚕由来の代替タンパク質原料について説明するモルスの佐藤CEO(ジェトロ撮影)
2021年に設立されたモルスは、蚕を原料としたタンパク質食材の研究・開発(R&D)や、蚕の育成、製造・加工、販売までの一貫したサプライチェーン構築を進めている。同社の佐藤亮最高経営責任者(CEO)はシンガポール都心で開催したイベントで、「日本には200年にわたる養蚕の産業振興と研究の歴史があり、世界でも最先端の技術がある」と強調した。佐藤CEOによると、蚕は逃げない、共食いをしないといった量産に適した性質を備えており、飼育段階での二酸化炭素(CO2)排出量が少ない持続可能なタンパク源だという。また、同氏は「蚕が桑の葉しか食べないため、当社の製品には桑の葉に含まれる(血糖値上昇抑制物質の)1-デオキシノジリマイシン(DNJ)と植物ステロールとポリフェノールが濃縮されている」と説明した。同社が開発した蚕由来のプロテイン粉末を水などに混ぜて飲むことで、血糖値を下げる効果があるという。
同社は2023年11月、シンガポールのフードテック専門のインキュベーター「Innovate360」のアクセラレーションプログラムに日本企業として初めて採択され、2024年4月にシンガポール法人を設立した。
シンガポールでは現在、人向けの食用昆虫の輸入・販売が規制されている(2023年3月3日付地域・分析レポート参照)。2023年中にも解禁される見込みだったが、遅れており、2024年下半期中に輸入・販売が認められる見通しだ。モルスは、昆虫食が解禁となった段階で、同社の製品をシンガポールで販売開始する予定だ。その後、他のASEAN諸国や日本、欧米での販売を計画している。
(本田智津絵)
(シンガポール、日本)
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