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米商務省、国家安全保障におけるAIリスク検証のタスクフォース設置(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月22日 14時20分

米国商務省は11月20日、人工知能(AI)技術が国家安全保障および公共安全に及ぼす影響の特定、測定、対処を目的とした、「国家安全保障のためのAIリスク検証(TRAINS)タスクフォース」を設置したと発表した。同省国立標準技術研究所(NIST)傘下のAI安全性研究所(AISI)をトップに、国防総省、エネルギー省、国土安全保障省、保健福祉省国立衛生研究所(NIH)などが参加する。

商務省の発表によると、タスクフォースの設置は、バイデン政権が2024年10月に発表した、連邦政府機関による国家安全保障関連用途のAIの開発・利用に関する国家安全保障覚書(2024年10月25日記事参照)で定められた省庁横断的な取り組みの一環に位置付けられる。タスクフォースは、CBRN(化学・生物・放射能・核)セキュリティー、サイバーセキュリティー、重要インフラ、通常兵器など、国家安全保障および公共安全の重要領域に関する高度なAIモデルの統合的な研究および試験に取り組む。これを通じて、AI開発における米国のリーダーシップを維持するとともに、敵対者が米国のイノベーションを悪用して米国の国家安全保障を脅かすことを未然に防ぐことを目指す。

商務省のジーナ・レモンド長官は発表の中で、「安全、安心、信頼できるAIイノベーションを実現することは、経済的な優先事項であるだけでなく、公共の安全と国家安全保障の確保において不可欠だ」「連邦政府のリソースを結集し、この世代を定義する技術の課題に対処するためにあらゆる手段を講じることを確実にするための重要な一歩だ」と述べた。

トランプ次期政権ではAI規制緩和の可能性も

米国シンクタンクのブルッキングス研究所は11月14日、2025年1月に発足するトランプ次期政権のAI政策の方向性に関する論考を発表した。バイデン政権下のAI政策について、2023年10月の大統領令(2023年11月1日記事参照)に基づいて民間企業や政府機関のAIの開発・利用に関して拘束力ある指針を発表したと振り返った上で、トランプ次期政権が規制緩和の方向性から、同大統領令の撤回や、開発・利用に関する要件の一部または全部を撤回する可能性を指摘した。具体的には、次期政権下では国家安全保障を目的とした軍事・諜報活動にAIを利用する取り組みを強化する可能性が高いとして、その実施に当たって米国のAI企業と連携を強化する場合、AIのもたらすリスクにバイデン政権よりも寛容なアプローチを採用する可能性を示唆した(注1)。他方で、バイデン政権が導入した中国を念頭としたAIに用いられ得る先端半導体の輸出管理(注2)は、維持ないし強化する可能性も示した。

(注1)産業界からはトランプ次期政権に対してAI関連規制の緩和を期待する声もあがっている(2024年11月8日記事参照)。

(注2)2022年10月11日記事2023年10月18日記事2024年4月8日記事参照。

(葛西泰介)

(米国)

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