トランプ氏、USTR代表に元USTR首席補佐官グリア氏、国家経済会議委員長に経済学者ハセット氏を指名(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月28日 11時30分
米国のドナルド・トランプ次期大統領は11月26日、米国通商代表部(USTR)代表に元USTR首席補佐官のジェミソン・グリア氏を、国家経済会議(NEC)の委員長に、経済学者で元経済諮問委員会(CEA)委員長のケビン・ハセット氏を指名すると発表した。
トランプ氏の発表によると、グリア氏はトランプ政権1期目で、中国への追加関税賦課や北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉および米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の締結で重要な役割を果たした。USTR代表として、貿易赤字の解消、米国の製造業、農業、サービス業の保護、輸出市場の開放に注力するという。米国通商専門誌「インサイドUSトレード」(11月26日)によると、グリア氏は5月に米中経済・安全保障調査委員会(USCC)で、中国との恒久的正常貿易関係(PNTR)を撤回すべきとの提言をしたほか(注)、議会の公聴会で、「経済および国家安全保障の目的のために、大統領が中国に対する関税を適宜変更できる権限を与えるべき」と証言した。トランプ氏のUSTR代表指名に対し、連邦上院で通商を所管する財政委員会のロン・ワイデン委員長(民主党、オレゴン州)は「ドナルド・トランプ氏は、富裕層向けの減税を、一般家庭が日常的に購入する製品への大幅な関税引き上げによって賄うと公約している。グリア氏がトランプ氏の消費者物価引き上げ計画をどのように実行に移すつもりなのか、また、米国製品を製造する際に使用する材料の価格が急騰した場合に、米国の労働者や企業がどのような影響を受けるのか、私はそれを知ることを楽しみにしている」と否定的な声明を発表した。
ハセット氏については、トランプ氏は声明で、CEA委員長時に減税政策の設計と実現に重要な役割を果たしたとし、NEC委員長としては、減税措置の延長および改善、これまで米国を利用してきた国々との公正な貿易の確保、米国民の繁栄を確保しながら同盟国との経済関係の強化に注力すると述べた。なおハセット氏は、トランプ氏の通商政策を擁護しているが、同時に、関税が経済成長を弱める可能性を認めるなど、トランプ氏がNEC委員長への指名を検討してきた他の候補に比べると穏健派にみられている(「ニューヨーク・タイムズ」紙電子版11月26日)。
(注)USCCは11月19日に発表した2024年の年次報告書で、中国とのPNTRの撤回を提言した(2024年11月21日記事参照)。連邦下院では11月14日にPNTR撤回法案が提出されており、今議会での可決見込みは低いとみられているものの、新議会での動向が注目されている(2024年11月18日記事参照)。
(赤平大寿)
(米国)
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