米大統領補佐官の訪中は米中首脳会談への布石となるか、ジェトロの米中月例レポート(2024年8月)(米国、中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月10日 13時20分
ジェトロは10月8日、米国の対中国関連政策についてまとめた2024年8月分の月例レポートを公表した。このレポートは、日本企業が米中関係に関する米国の動向を把握できるよう、2021年7月から毎月分を作成して特集ページに連載している。
2023年11月に行われた米中首脳会談で合意された米中両国の高官による対話継続に関しては(2023年11月16日記事、2023年11月17日記事参照)、公開情報を踏まえる限りでは、8月は27~29日にジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)が中国を訪問し、北京で習近平国家主席、王毅・中国共産党中央政治局委員兼外交部長(外相)、張又侠・中央軍事委員会副主席と会談を行ったのみだった。
サリバン補佐官による訪中は、8月27、28日に行われた王外相との会談から始まった。ホワイトハウスの発表によると、両者はこれまでと同様、2国間、地域および世界的な幅広い問題について、率直、実質的、かつ建設的な協議を行ったとしている。また、サリバン補佐官から、「貿易や投資を不適切に制限することなく、米国の先進技術がその安全保障を阻害するために使用されることを防止する必要な措置をとり続ける」「中国が不公正な貿易政策や非市場経済慣行をとり続けていることに対する問題を引き続き提起した」としており、通商政策をはじめとした複数の問題に関して米国の立場を伝えた。
サリバン補佐官は29日に中国の張中央軍事委員会副主席と会談し、両国の競争が対立や衝突に発展するのを防ぐ責任があると強調し、ハイレベルな外交と開かれたコミュニケーションラインを維持する努力の一環として、定期的な両国の軍対軍のコミュニケーションの重要性を再確認した。
同日には、サリバン補佐官は習国家主席と会談し、2023年11月の米中首脳会談での合意のさらなる推進として、麻薬対策、両国軍間の直接対話、人工知能(AI)の安全性とリスクなどについて協議した(2024年9月2日記事、2024年9月2日記事参照)。
そのほか、サリバン補佐官の訪中では、その全てを通して、ロシアに対する懸念や台湾海峡の平和と安定などについて提起したほか、今後数週間以内にジョー・バイデン大統領と習主席が電話会談を行うための調整に入ったとしている。
なお、サリバン補佐官は訪中に関するプレスブリーフィングで、11月第3週に予定されているAPECや、11月18~19日開催予定のG20サミットなどの国際会議の場に両首脳が出席する場合、その場で「会談の機会を設けるのは自然な流れ」とコメントしており、2023年11月以来初となる対面での米中首脳会談の実現が期待される(2023年11月16日記事参照)。
米国の対中政策・措置や米国側から見た米中関係の動向について、行政府、連邦議会、産業界、学会に分けて解説する月例レポートは、こちらの特集ページからさかのぼって閲覧が可能。米中関係に関する中国の動向も確認できる。
(谷本皓哉)
(米国、中国)
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