中国、ドローンなど低空経済の発展に向けた政府部門設立(中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月8日 13時30分
中国の国家発展改革委員会は12月27日、同委員会内に低空経済司(注1)を設置した。同委員会のウェブサイトでは、職責として低空経済の発展戦略・中長期的発展計画の策定、関連政策についての意見提出、重要問題に関する調整などを挙げている。
また、同ウェブサイトによると、低空経済とは、低空領域(通常1,000メートル以下、必要に応じて3,000メートルまで延長)で、民用の有人・無人運転の航空機器を主体とし、旅客輸送、貨物輸送、その他の業務といった多様な場面で低空飛行活動が牽引し、商業活動や公共サービス分野の融合的発展に波及し、促進する新たな経済のかたちとしている。低空経済の市場規模は2023年には5,059億5,000万元(約10兆9,285億2,000万円、1元=約21.6円)だったのが、2026年には1兆元、2035年には3兆5,000億元に達するとしている。
報道によると、低空経済はドローンや電動垂直離着陸機(eVTOL)などを活用し、農林業・電力設備検査、物流・応急救護など幅広い分野に及ぶもので、「新たな質の生産力(注2)の典型的代表」とされている(「経済日報」1月3日)。
上海市では既にドローンを使用したデリバリー、広東省深セン市ではeVTOLによる都市間移動といった事業が試験的に実施されており(「経済日報」1月6日)、今後、ドローン操縦者のみで100万人の人材が必要になるとされている(「中国中央電視台」1月6日)。
低空経済については、中央・地方各レベルで発展に向けた動きが近年相次いでいる。中央レベルでは、2021年の「国家総合立体交通網規画綱要」で初めて低空経済が国家戦略に盛り込まれたとされ、2024年3月の李強首相による政府活動報告書、7月の中国共産党の第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)でも、低空経済の発展について言及した。
地方レベルでも、北京市や上海市、広東省、山東省などで、現地の状況に合わせた発展計画が発表されている(2024年10月17日、2024年8月16日、2024年7月9日、2024年6月6日、2024年5月29日記事参照)。
(注1)司は日本の中央省庁の局に相当。設立日は12月29日付「環球網」による。
(注2)イノベーションが主導的役割の、伝統的な経済成長モデルや生産力の発展ルートを脱した、高い技術・効率・品質という特徴を備え、新発展理念に符合する生産力とされる。中国の目指すイノベーションによる発展で、従来の生産力とは異なる重要な概念として提唱されており、2024年3月の第14期全国人民代表大会(全人代)第2回会議で、2024年の重点業務として「新たな質の生産力の発展を加速させる」とし、12月の中央経済工作会議では、2025年の重点政策の2番目の項目として「科学技術イノベーションにより新たな質の生産力の発展を導き、現代化された産業システムを構築する」とされている。
(河野円洋)
(中国)
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