5月のインフレ率、前年同月比2.0%へ低下、中銀の目標値に約3年ぶり到達(英国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月20日 13時20分
英国国家統計局(ONS)の6月19日付発表によると、英国の5月単月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比2.0%で、前月の2.3%から低下した。これにより、イングランド銀行(BOE、中央銀行)が掲げるインフレ目標(2%)を2021年7月以来約3年ぶりに達成したことになる。なお、他の主要国・地域と比較すると、米国は3.3%、ユーロ圏は2.6%だったことから、英国は目標の2%をいち早く達成したかたちだ。
今回の低下の要因として、主に食料品・非アルコール飲料や娯楽・文化、家具・家庭用品の価格上昇の鈍化を挙げた。特に食料品・非アルコール飲料については、2023年3月に過去45年余りで最高となる19.2%を記録した後、14カ月連続で低下。5月は1.7%とさらに低下した。娯楽・文化に関しては、ペット用品、パッケージ旅行、書籍などが寄与している。
5月のガソリン平均価格は1リットル148.8ペンス(約299円、1ポンド=100ペンス、1ポンド=約201円)で、前年同月比3.0%増となった。
7月4日に総選挙を控え、支持率低下が見られる与党・保守党にとっては、今回の発表は追い風となった。ジェレミー・ハント財務相はメディアに対して、多くの主要国と比べて英国のインフレ率は低い水準にあると述べ、「賃金を巡る公共部門のストライキを非難しない姿勢の労働党政権下では、賃金上昇やインフレの長期化を招き、このようなこと(インフレ率低下)は実現しなかっただろう」と述べた。
一方で、労働党の影の財務相レイチェル・リーブス氏は「保守党の大臣たちとは異なり、全てが順調だと主張するつもりはない。なぜならば、生活費の高騰が家計を圧迫する状況はまだ深刻なことを知っているからだ」と述べた(「BBCニュース」6月19日)。
英国調査会社キャピタルエコノミクスは、5月のコアインフレ率(3.5%)とサービスインフレ率(5.7%)は依然としてユーロ圏(それぞれ2.9%と4.1%)を上回っていると指摘した上で、英国のインフレ率は2024年後半にはさらに低下し、1.5%になると予想している。
BOEは6月20日に政策金利について発表を行うことになっているが、市場は金利の据え置きを予測している。
(松丸晴香)
(英国)
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