フランス下院選公示、極右の国民連合が政策の大枠発表(フランス)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月19日 14時45分
フランスの欧州議会選挙での極右・国民連合(RN)の勝利を受けて、エマニュエル・マクロン大統領が6月9日に発表した国民議会(下院)の解散・総選挙は6月17日に公示され、同月30日の第1回投票に向けて選挙戦が正式にスタートした。
これを受けて、RNのジョルダン・バルデラ党首は17日、日刊紙「ル・パリジャン」とのインタビューで、RNが国民議会で単独過半数を獲得した際に実施する政策の大枠を発表した。購買力、治安、移民の3つが主要なテーマとなる。まず、マクロン政権が実施した年金制度改革(2023年4月20日記事参照)を2024年秋に撤廃するほか、今夏にも自動車燃料とエネルギーに係る付加価値税(VAT)の税率を現行の20%から5.5%に引き下げることを約束した。財源は、税額控除措置を見直して税収を増やすほか、EUへのフランスの分担拠出金を20億ユーロ減らすなどして確保する。治安については、公権力を持つ者(選挙公職者、警察官など)への暴力行為や、違法薬物に対する最低刑罰の再導入、犯罪を繰り返す未成年の保護者への家族手当の支給停止などを予告した。移民政策では、フランス国籍取得の際の出生地主義を撤廃するほか、国が医療費を負担する外国人向け緊急医療サービスの適用を厳格化するとした。
経済紙「レゼコー」が6月15日に発表した世論調査(実施日6月12~13日、フランス語)の結果によると、第1回投票でRNに投票すると答えた人は33%と最も多く、これに極左・不服従のフランス(LFI)を軸にした左派連合「新民衆戦線」の25%が続いた。マクロン大統領を支持する中道の大統領多数派(la majorité présidentielle)は極右と極左に押されて20%と出遅れる一方、RNとの共闘を巡って党内で対立が激化する右派の共和党は7%だった。全体の68%が「選択を変えることはない」と回答したが、この割合はRNの支持者で87%と特に高かった。
大統領多数派にとって、極右・極左を忌避する有権者の票の取り入れが勝敗を決めるカギとなる。同派の選挙キャンペーンを率いるガブリエル・アタル首相は17日の公認候補の応援演説で、極右または極左の勝利はフランスの経済危機につながると警告し、極右または極左の政権誕生を阻止するため、共和国擁護を求めて結集するよう訴えた。
(山崎あき)
(フランス)
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