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トランプ前政権高官が米誌に寄稿、「米国経済を中国から切り離すべき」(米国、中国、日本)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月25日 0時20分

米国のドナルド・トランプ前大統領の国家安全保障担当補佐官を2017~2019年に務めたロバート・オブライエン氏が米国シンクタンクの外交問題評議会(CFR)が発行する国際政治経済誌「フォーリン・アフェアーズ」に、トランプ前政権の外交政策に関する論文を寄稿した。7・8月号に掲載され、6月18日付でウェブ公開された。

オブライエン氏はトランプ前政権の外交政策の原則「力による平和(peace through strength)」について、平和確保には軍事力が必要だとするジョージ・ワシントン初代大統領の演説を引用しつつ、その歴史的・戦略的価値を強調した。前政権の外交実績として、アブラハム合意(注1)、セルビア・コソボの経済関係正常化、カタール・湾岸諸国の緊張緩和などを挙げたほか、ロシアや中国、北朝鮮、イランが軍事行動を現在のように拡大することはなかったなどとして、前政権の外交政策を肯定的に振り返った。

また、トランプ氏の外交・通商政策は、1990年代以降のグローバリズムが米国の国家安全保障と経済的利益を損なってきたことへの反動だとし、同氏がアンドリュー・ジャクソン第7代大統領の外交政策のアプローチを高く評価していることから、同氏が大統領に返り咲いた場合には「ジャクソニアンな現実主義が復活するだろう(注2)」とした。ただし、トランプ前政権の外交政策を表す標語として当時の政権高官が「米国第一主義は米国単独主義ではない」を多用していたことを紹介し、外交政策を成功させるために同盟・パートナー国との協調も重視していたと指摘した。

中国に関しては、経済的・軍事的に強大な敵対国として台頭してきたと問題視した。また、中国に対するバイデン政権の政策は一貫性を欠いた中身のないものだと批判した。さらに「米国経済を中国から切り離すべきだ」として、トランプ前大統領が提唱している中国製品の輸入に対する60%の追加関税の賦課、懸念される中国への技術流出に対する輸出規制の強化など、明確な措置を講じるべきだと主張した。

太平洋地域については、中国に対抗するために、日本、オーストラリア、フィリピン、韓国、シンガポールなどの同盟・パートナー国が合同軍事演習や防衛費増額を通じて安全保障を強化する必要があるとした。また、インドネシアやベトナムなどに焦点を当て、補助金や融資、武器供与などを通じて、米国が防衛力強化を支援すべきだと訴えた。

ロシアのウクライナ侵攻に関しては、トランプ前大統領が大統領に再選されれば、同氏がウクライナに対する援助を継続する一方で、ロシアとの外交交渉による解決を図ることを望んでいるとした。また、同氏はNATO軍をポーランドに派遣し、対ロシア防衛を強化することも働きかけるだろうとして、外交的関与と併せて軍事的圧力を通じたアプローチを企図していることを強調した。

なお、オブライエン氏は、トランプ前大統領が再選された場合に、国務長官、国防長官、国家安全保障担当補佐官などへの就任が取り沙汰されている(政治専門誌「ポリティコ」2024年1月5日)。

(注1)イスラエル、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン間でそれぞれ2020年9月に締結された国交正常化の平和協定(2020年9月17日記事参照)。

(注2)米国バード大学教授のウォルター・ラッセル・ミード氏は「フォーリン・アフェアーズ」誌(2017年3月・4月号)に寄稿した論文で、米国の外交潮流を4つに分類した。これによると、ジャクソニアンは、ポピュリズムとナショナリズムを基調に、米国の国家安全保障と経済的利益を追求し、対外関与は限定的な一方で、米国に対する外敵の攻撃や米国民の権利を脅かす内側からの攻撃といった内外からの脅威に対しては、実力行使を含めて強硬に対抗する姿勢をとる

(葛西泰介)

(米国、中国、日本)

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