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サルタ州鉱業庁長官、鉱業政策や資本取引、税制の安全性を強調(アルゼンチン)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月6日 9時30分

ジェトロは9月26日、アルゼンチン・サルタ州のロミナ・サッサリーニ鉱業・エネルギー庁長官に同州の鉱業分野の投資環境について話を聞いた。同長官は、鉱業政策、資本取引、税制の安全性を強調した。サッサリーニ長官は現在、連邦鉱業委員会(COFEMIN)の委員長を務めている。COFEMINは、連邦政府と州政府により構成される組織で、鉱業政策に関する国と州政府のコンセンサスの形成、鉱業政策の推進、鉱業分野における問題の解決策の検討を行っている。

サルタ州で生産段階に入るリチウムのプロジェクトは、フランスのエラメットと中国の青山控股集団(Tsingshan)がそれぞれ51%、49%を出資する合弁企業エラミネが開発するセンテナリオ・ラトネス塩湖リチウムプロジェクトが初めてで、フェーズ1では年間2万4,000トンの生産を予定している。フェーズ2および3では、年間7万から7万5,000トンにまで拡大する計画だ。サルタ州では既に金やホウ酸塩が生産されているが、他にも銅、銀などの開発プロジェクトがある。中でも大きいのはカナダのファースト・クオンタムの銅鉱山開発プロジェクトのタカタカで、36億ドルの投資が必要とされている。

鉱物資源は、連邦政府ではなく州政府が管轄するため、連邦政府の政権交代による政治の混乱の影響を回避できるのが鉱業の強みだ。州によって鉱業政策は異なるが、カナダのシンクタンク、フレーザー研究所が鉱山・探鉱会社を対象に毎年実施している鉱業の投資環境に関する2023年版年次報告書によると、サルタ州はアルゼンチン国内で最も優れた鉱業の投資環境を有している。

サルタ州では、鉱業・エネルギー庁とともに州司法府管轄の鉱業裁判所(Juzgado de Minas)が、コンセッション(権利許可)、鉱区の管理、登録、技術的監査などを行い、法的安定性を提供している。

また、州法として鉱業促進法があるだけでなく、ハビエル・ミレイ政権が導入した大型投資奨励制度(RIGI)をサルタ州も批准したため、税制、資本取引規制の観点でも安全性が保障されているといえる。なお、鉱業促進法は、各鉱業プロジェクトは事業規模に応じて従業員の40~70%をサルタ出身者かサルタ在住者とする必要があると規定している。財・サービスの調達にも同様の比率が適用されるが、これは、州にノウハウを残してもらうためだ。

州政府は、鉱業を巡って地域の先住民コミュニティーと良好な関係を築いている。公聴会開催、鉱業プロジェクトへの監視、コミュニティー参加型のモニタリングも導入しているほか、鉱山企業、コミュニティー、州鉱業警察の間で鉱業に関する講習会も毎年実施している。州政府は鉱業分野の人材育成にも力を入れており、特に鉱業分野における女性労働者の雇用は重要と考えている。

州政府は、鉱業に関する情報を幅広く提供しているので、ぜひアクセスしてほしい、とサッサリーニ長官は述べている。

(山木シルビア、西澤裕介)

(アルゼンチン)

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