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中国最高人民法院、独占禁止と反不正競争に関する典型事案を発表(中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月26日 0時25分

添付資料PDFファイル(252 KB)

中国の最高人民法院は9月11日、「独占禁止と反不正競争に関する典型事案」を発表した(添付資料表参照)。司法の方向性が示された判決や、秩序ある公平な市場環境の構築および産業の健全な発展に資する判決が出された紛争計8件について、その概要と当該判決の意義を解説し、司法裁判の規範を示すことを目的としている。

典型事案の内訳は、価格固定や水平的独占合意、抱き合わせ販売での市場支配的地位の乱用など、独占禁止法に関する事案が4件、「一般条項」(注1)や模倣・混同を引き起こす行為、虚偽宣伝、営業秘密など、反不正競争法に関する事案が4件だった。外資系企業が関連する事案としては、フランスの大手電機メーカーのシュナイダーエレクトリックが関わった紛争が選ばれた。これは、自社商標に類似した商標の登録と使用を通じ、商標権侵害ならびに不当競争行為を行ったとして、同社が施耐德電梯に対し、権利侵害行為の停止や企業名の変更、損害賠償などを求めて訴えを起こしたもの(注2)。第一審で4,000万元(約8億円、1元=約20円)の損害賠償などを命じる判決が出され、被告が控訴したものの棄却され、原判決が維持された。典型事案では、この判決の意義について「侵害による利益が法定賠償上限額を超えることを証明する十分な証拠があった場合、人民法院は合理的に立証責任を分担し、裁量賠償方式を正しく適用して賠償額を決定し(中略)知的財産権の保護を効果的に強化するという司法の特色ある方向性を十分に体現した」と述べている。

「新エネルギー車シャシー」技術秘密侵害事案は、競合企業への従業員の転職に伴う営業秘密侵害に関して争われたものだ。自動車メーカー吉利汽車控股とその関連会社(以下、吉利汽車)から競合の威馬汽車科技集団とその関連会社(以下、威馬汽車)に転職した管理職クラスの従業員やエンジニア約40人が持ち出した技術情報を基に特許出願や製品の開発を行ったとし、吉利汽車が威馬汽車に侵害行為の停止と損害賠償などを求めて訴えを起こした(注2)。第二審となる最高人民法院はこの件について、計画的かつ大規模な営業秘密侵害と認定し、被告に経済損失に対する懲罰的損害賠償を含む賠償金6億4,000万元の支払いなどを命じた(注3)。典型事案では、この判決の意義について「人民法院は、技術秘密侵害の総合的な判断に基づき、懲罰的損害賠償に関する法律規定を適用し、損害賠償額を決定するだけでなく、侵害行為の停止に対する民事責任の具体的な負担や非金銭義務の遅延損害金に対する支払基準についても、積極的かつ有益に検討した」と評している。

(注1)反不正競争法第2条第1項にある「事業者は、生産・経営活動において、自由意思、平等、公平、信義誠実の原則を順守し、法律および商業道徳を順守しなければならない」という信義誠実の原則に関わる規定を指す。

(注2)典型事例の発表文書上では、各事案の原告および被告の社名が一部伏せ字で表記されているが、他の政府機関の発表や関連報道から当事者の名称が明らかになっている。

(注3)懲罰的損害賠償とは、実際に生じた損害の賠償に加えて、さらに加害者に対する制裁や同様の行為の抑止を目的として賠償を加算すること。

(小野好樹)

(中国)

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