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就業率の向上へ、雇用改革に関する白書公表(英国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月10日 11時0分

英国政府は11月26日、雇用改革に関する白書を公表した。復職支援や、若者向けの職業訓練、求職支援、スキル向上に向けた支援の提供、雇用主の採用・雇用維持・従業員の育成支援に取り組むとしている。就業率80%を長期目標として掲げ、世界的にも高い就業率を達成するとした。

英国政府によると、国内の失業者は現在約150万人、非労働力人口が900万人、うち280万人が長期的な疾病による無職とされている。また、若年層の12.5%が就学・就業していない、あるいは職業訓練も受けていないとされ、900万人の成人が基礎的なスキルを欠いているとされている。英国は主要国で唯一、就業率が新型コロナウイルス禍前の水準を下回っている。長期的な疾病によって無職となった人の急激な増加と、旧態依然の就職支援システムにより、課題に対応できないことが主要な原因とされている。

今回の白書で、打ち出している主な改革案は次のとおり。

国営医療サービス(NHS)の診察予約枠を週当たり4万回増大。健康に関連した非労働率レベルが特に高いとされる20地域向けには、待機リスト縮小のための専用枠を設定。
非労働につながるとされる健康課題への対応。カウンセリングサービスの拡大や肥満などへの治療なども含めた対応。
メンタルヘルスや筋骨格系障害に係る専門家サービスの拡充。
ウェールズ自治政府や大都市圏の市長と連携し、非労働力を削減。2025年度(2025年4月~2026年3月)に1億2,500万ポンド(約240億万円、1ポンド=約192円)を拠出。
職業実習制度の賦課金を改革し、より柔軟な制度とすることで、若者向けの機会を拡大。主要な業界で短期の職業実習制度を導入。
スポーツ、文化などの関連機関などと連携し、若年層に対する機会を提供。
就労体験やキャリアアドバイスの拡充、メンタルヘルスサービスへのアクセスの向上などを通じ、16~17歳の層への教育または職業訓練の機会の保証。
職業紹介所の変革。デジタル化や、包摂性の向上のほか、個別の求職者に合わせた支援の提供。雇用主と新たな関係を構築、採用ニーズに応え、外国人労働者への依存を削減。
障害者の採用と雇用継続の拡大
疾病による休暇への早期の対応を実施し、復職を促進

政府は10月にも労働者の権利を強化する雇用権利法案を発表している(2024年10月18日記事参照)。

(野崎麻由美)

(英国)

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