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米エネルギー省、韓国ハンファQセルズの太陽電池製造施設に14億5,000万ドルの条件付き融資発表(米国、韓国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月14日 11時30分

米エネルギー省(DOE)融資プログラム局(LPO)は8月8日、韓国ハンファグループ傘下で結晶シリコン系太陽電池を製造するハンファQセルズに対し、インゴットやウエハー、セル、太陽光パネルを生産するジョージア州カーターズビルの製造施設を支援するため、最大14億5,000万ドルの融資を条件付きで提供すると発表した。

Qセルズは2019年、同州ダルトンに西半球最大となる年間で1.7ギガワット(GW)の生産能力を持つ太陽光パネル製造施設を開設した。2023年1月には25億ドル以上を投じてダルトン工場の拡張とカーターズビル工場の建設を発表し(2023年1月12日記事参照)、2024年4月にはカーターズビル工場での生産を開始した(2024年4月9日記事参照)。今回融資を受けるカーターズビル工場はインゴットやウエハー、セル、完成パネルを10年以上にわたり1つの施設で生産する米国初の垂直統合型工場となる予定で、コストと性能に優れた大判ウエハーを製造する予定だ。同工場が完全に稼働すると、年間3.3GWの生産能力となる見込みで、DOEによると、これは50万世帯分の電力を賄う量のパネル生産能力に相当する。

今回のプロジェクトは、太陽電池のサプライチェーンの各段階における米国内生産にインセンティブを与えるインフレ削減法(IRA)第45条に基づく先進製造業生産税額控除(45X、注1)の恩恵も受ける予定だ。また、同工場で生産した太陽光パネルを利用することで、発電開発業者がIRAのクリーンエネルギー製造税額控除に関して適用される国産部材ボーナスクレジット(注2)の受給資格を得ることにも役立つ。DOEの融資プログラムディレクターのジガー・シャー氏によると、2026年の太陽電池モジュールの米国内需要は約50GWと予想されており、その80%を米国内生産で満たす見込みという。需要の大半を満たす信頼性の高い国内サプライチェーンが確立される予定だ(AP通信8月8日)。

太陽光発電製造を巡っては、米国内でのサプライチェーン確立に向けた政策がとられている一方、中国などの外国からの輸入品に対する措置も講じられている。バイデン政権は5月16日、米国の太陽光発電製造を強化し、中国の不公正な貿易慣行から製造業者と労働者を保護するための新たな措置を発表し(2024年5月17日記事参照)、その一環として6月21日に、両面太陽光パネルに対する緊急輸入制限(セーフガード)措置の適用除外を終了する大統領布告を発表している(2024年6月26日記事参照)。

(注1)太陽光発電コンポーネントや風力発電コンポーネント、インバーター、系統蓄電池、鉱物などを適格コンポーネントとして指定し、これらを国内製造・販売した場合、その販売量に応じて税額控除が受けられるというもの(2023年12月18日記事参照)。

(注2)再エネ電力やクリーン電力に係る投資や製造を行うに当たり、対象プロジェクト施設・設備の建設に使われる鉄鋼/鉄が全て米国製、かつ工業製品については米国で採掘・生産・製造された構成材のコストが一定割合以上の場合に、最大10%のクレジットを付与するというもの(2024年5月20日記事参照)。

(横山華子)

(米国、韓国)

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