米大統領選の予備選終了、バイデン氏とトランプ氏が直接対決する討論会迫る(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月11日 11時0分
11月の米国大統領選挙に向けた民主、共和両党の予備選挙は、6月8日の民主党のグアム、米領バージン諸島での予備選をもって終了した。CNNによると、民主党のジョー・バイデン大統領が獲得した代議員数は3,949人中3,894人、共和党のドナルド・トランプ前大統領は2,429人中2,242人と、両者とも圧勝だった(6月10日時点)。
両候補とも3月早々に党の指名獲得を確実にした(2024年3月14日記事参照)。一方で、予備選を通じ、本選に向けた懸念点も明らかになった。バイデン氏は、パレスチナ自治区ガザ地区で攻撃を続けるイスラエルへの対応が非難され(2024年3月7日記事参照)、ケンタッキー州など複数の州で「支持者なし」に10~20%の票が集まった(2024年3月26日記事、2024年5月23日記事参照)。最終的に、民主党の予備選でバイデン氏に次いで代議員を獲得したのは、「支持者なし」の35人だった。バイデン氏にとっては、実質的に対立候補がいない予備選だったものの、米領サモアでは実業家のジェイソン・パーマー氏に敗れた(2024年3月7日記事参照)。高齢による職務遂行能力への懸念は度々指摘された。
共和党の予備選では、ニッキー・ヘイリー元国連大使が首都ワシントンとバーモント州でトランプ氏に勝利した(2024年3月5日記事、2024年3月7日記事参照)。ヘイリー氏は撤退表明後も一定の票を集め、最終的には95人の代議員を獲得した。保守的な政策をとるトランプ氏にとって、本選では中道派のヘイリー氏の支持層から票を得られるかが争点の1つとされている。ヘイリー氏は5月に本選でトランプ氏に投票すると明らかにしたが、同時に「私の支持者が何もせずにトランプ氏を支持することはない」とも述べ、中道派に配慮した政策策定を促している(2024年5月23日記事参照)。また、トランプ氏は4件の裁判を抱えており、そのうち不倫口止め料の不正会計処理については、5月にニューヨーク州最高裁判所の陪審員から有罪評決を受けた(2024年5月31日記事参照)。有罪評決は、共和党内の団結を深めるとの見方があるものの、穏健なヘイリー氏の支持層がどのような判断をするかは現時点では未知数だ(2024年6月3日記事参照)。
バイデン氏とトランプ氏は6月27日、CNNが主催するテレビ討論会に参加する(2024年5月16日記事参照)。例年、大統領候補者による討論会は大統領討論委員会(CPD)が主催し、各党の全国大会で候補者が正式指名され、副大統領候補も明らかになり、党公約が発表された後に行われる。だが、両候補ともに、過去の討論会は参加者にルール順守を徹底できていなかったなどとして、CPD主催討論会の運営方法に否定的だったため、メディア主催で行われることとなった。司会はCNNアンカーのジェイク・タッパー氏とダナ・バッシュ氏が務める。観客はいない。そのほかの詳細なルールは追って発表される予定だ。討論会では、予備選を通じて明らかになった前述の懸念について、両氏が払拭できるのか注目される。また、各党の全国大会前に行われるため、その場で副大統領候補が明らかになるのか、2025年以降の具体的な政策方針が示されるのか、激戦州(スイングステート)の無党派層へ訴求する議論ができるのか(注)、といった点も注目点となる。
ジェトロの特集ページ「2024年米国大統領選挙に向けての動き」では、大統領選挙に関する最新動向を随時紹介している。
(注)大統領選挙では、制度上、激戦州の結果が選挙全体の結果をも左右し得る。激戦州ではわずかな票差で勝敗が決することもあるため、無党派層の支持をいかに獲得できるかが重要となる。特に今回の大統領選挙では、バイデン氏、トランプ氏ともに高齢であることや、スキャンダル(バイデン氏については次男のハンター・バイデン氏が裁判中)を抱えているといった理由から、第三の候補にどれだけ票が流れるかも、過去の大統領選に比べて重要とされている。
(赤平大寿)
(米国)
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