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スリランカで、インドや中東への錦鯉の輸出ハブ拠点化に向けた実証実験(スリランカ、インド、アラブ首長国連邦、日本)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月1日 0時30分

新潟県は10月10日から12日にかけて、錦鯉(にしきごい)を生産・販売する伊佐養鯉場(本社:新潟県小千谷市)およびスリランカの卸売業者のOYA NISHIKIGOI(オヤ・ニシキゴイ)の協力の下、日本からスリランカへ錦鯉を空輸する実証実験を行った。同県は錦鯉の輸出拡大を図るため、農林水産省の補助事業「GFP大規模輸出産地生産基盤強化プロジェクト」を活用し、効率的な輸送方法と輸出時の適切な水温・水質の管理方法を調査した。

写真 新潟県職員による、水温や水質の調査(ジェトロ撮影)

新潟県職員による、水温や水質の調査(ジェトロ撮影)

日本政府は、錦鯉を農林水産物・食品の輸出重点品目として選定している。近年、日本からスリランカへの錦鯉の輸出は増加しており、財務省貿易統計によると、2023年の日本からスリランカへの鯉(HSコード:0301.11.200)の輸出額は前年比3.3倍の約3,170万円だった。

スリランカは、親日的な消費者が多い市場であり、富裕層が拡大するインドや中東地域向け輸出の中継地として発展する可能性もある。オヤ・ニシキゴイは、日本から稚魚を輸入し、スリランカ中部のダンブッラの自社施設で育成した上で、インドやアラブ首長国連邦(UAE)を含む国内外の消費者や小売業者に錦鯉を販売している。

同社CEO(最高経営責任者)のアミラ・バンダーラ氏は「周辺国のバイヤーは、当社で錦鯉を購入すれば、日本の生産地まで案内するガイドや通訳の手配料、日本への渡航費などの経費や移動時間を節減できる。インドでは、中国企業も自国で育てた錦鯉を販売しようとしているが、現在は日本のブランドが強い。当社では、衛生環境に配慮しながら、日本から輸入した体型や色合いの良い錦鯉を飼育している」と話した。

他方、バンダーラ氏はスリランカ市場について、「輸入ライセンスを半年ごとに更新する必要があり手続きが煩雑だ。また、国内事業者の錦鯉への関心は高いが、育成に関する知識は断片的だ。衛生的な飼育方法や上質な錦鯉の見極め方に関する啓発活動を実施し、日本から質の高い錦鯉を輸入する事業者が増えれば、南西アジア・中東地域への輸出ハブ拠点として成長できるだろう」と語った。

写真 日本から空輸した錦鯉を取り扱う、オヤ・ニシキゴイCEOのアミラ・バンダーラ氏(左)(ジェトロ撮影)

日本から空輸した錦鯉を取り扱う、オヤ・ニシキゴイCEOのアミラ・バンダーラ氏(左)(ジェトロ撮影)

(大井裕貴)

(スリランカ、インド、アラブ首長国連邦、日本)

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