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米大統領選に合わせ10州で人工妊娠中絶に関する住民投票実施(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月31日 11時20分

11月5日に行われる米国の大統領選挙の重要事項として取り上げられる人工妊娠中絶の規則に関する住民投票が、選挙に合わせて10州で行われる。現在、人工妊娠中絶がほぼ認められているニューヨーク、コロラド、メリーランドの3州と、24週目まで認められているネバダ州、20週目まで認められているモンタナ州、15週目まで認められているアリゾナ州、および、現行ではほぼ全面禁止、または短い期間のみ認められているフロリダ、サウスダコタ、ミズーリ、ネブラスカ州の10州だ。主な州の注目されるポイントは次のとおり。

〇ニューヨーク州では、州憲法に差別禁止に関する「条項第1号」を追加するか否かが問われる。差別の対象は、人種、国籍、年齢、障害、性関連(性的指向、性自認、妊婦を含む)のほか、生殖医療と生殖に関する自己判断権も対象とされる。

〇コロラド州では、人工妊娠中絶を同州の憲法上の権利とする「条項第79号」を追加するか否かが問われる。この条項はまた、現在、人工妊娠中絶に対して州および地方政府が資金提供することを禁止している法律を廃止する。

〇メリーランド州では、個人(女性)が妊娠を予防、継続、または中絶させる意思決定を行う権利を守り、州は、やむを得ない州の利益によって正当化されない限り、この権利を否定、剝奪してはならないという追加条項「第48条」の可否が問われる。

〇サウスダコタ州では、現行の人工妊娠中絶禁止法が緩和され、妊娠12週目までは妊婦が人工妊娠中絶を受ける権利が守られる「憲法修正案G」の可否が問われる。

その他6州〔ネバダ、モンタナ、アリゾナ、フロリダ、ミズーリ(注1)、ネブラスカ(注2)〕では、現行の規制の有無にかかわらず、妊娠約24週目まで(注3)は、人工妊娠中絶の権利を守る是非を問う住民投票が行われる。

(注1)ミズーリ州では、同州における禁止法を撤廃することや、政府の干渉なしに生殖医療に関する決定を下す権利の確立を認める一方で、妊娠24週目以降の人工妊娠中絶を制限・禁止することを認めることに対して、可否が問われる。

(注2)ネブラスカ州では、妊娠約24週目までの人工妊娠中絶を認めるべきとする「第439号議案」と、特定の場合を除き妊娠13週目以降の胎児は人工妊娠中絶から守られるべきだとする「第434号議案」に対して可否が問われる。

(注3)胎児が子宮外でも生存するまで育つ状態(fetal viability)に到達するまでとなっており、米国ではこれを、妊娠約24週目としている。

(吉田奈津絵)

(米国)

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