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全国で増税案に反対する抗議デモ発生、多数の死傷者も(ケニア)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月28日 15時40分

ケニアで、増税案が数多く盛り込まれた2024年財政法案に反対する抗議行動が首都ナイロビをはじめ、全国各地で実施され、治安部隊と衝突して多くの死傷者が出る事態となっている。特に6月25日には、ナイロビの中心部(Central Business District:CBD)にある議会で、同法案にかかる議決が行われる中、デモ隊が議会に侵入し、議会の一部に火がつけられるなど、深刻な事態に発展した。現地報道によると、治安部隊とデモ隊の衝突で22人が死亡、多数が負傷して病院に運ばれたとされる。このほか、ナイロビ郊外や地方でも治安部隊との激しい衝突が起こった。

ウィリアム・ルト大統領は25日夜に会見を行い、デモ参加者を「組織的犯罪者(Organized Criminals)」として激しく批判し、厳しく対処することを表明した。しかし、翌26日夜には一転して態度を軟化させ、25日に議会で可決された2024年財政法案に署名せず、全条項を白紙撤回することを表明した。

ルト大統領が姿勢を軟化させ、増税案が白紙撤回されたものの、大統領に対する怒りは収まらず、大統領退陣を求めるデモに発展している。27日には官邸周辺でのデモが予定されていたが、厳重な道路封鎖などの措置によって、官邸周辺ではデモは起こっていないが、CBDを含む各地では27日現在もデモが行われている。日本の外務省も26日、ケニアの治安情勢悪化を受け、スポット情報を発出した。引き続き注意が必要な状況だ。

2023年にも増税にかかる度重なるデモが発生し、経済に大きな影響が出た(2023年7月19日記事参照)。当時は野党党首だったライラ・オディンガ元首相がデモを指揮していたが、同氏は2025年2月のアフリカ連合(AU)委員長への立候補のため、野党党首としての活動は控えている。今回のデモは「Z世代」と呼ばれる若年層らが中心的に起こしているとされている。こうした世代が失業や日々の生活苦に悩む一方で、増税や「空飛ぶ大統領(The flying President)」と呼ばれる外遊の数々、一向に改善されない汚職など、現政権に対する不満は大きい。

大統領は白紙となった財政法案の見直しを示唆しているが、その行方は不透明だ。デフォルトは回避(2024年2月20日記事参照)したものの、引き続き厳しい状況にあるケニア財政だが、増税が困難となった中で、一層の緊縮措置が取られることが予想される。今回の事態を受け、外国の投資家からの信頼も損ねたとされ、今後のケニア経済の行方も懸念される。

(佐藤丈治)

(ケニア)

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