ミシュラン1つ星レストランが日本産ホタテ創作料理を初披露（メキシコ、日本）

2024年5月にミシュランガイドで1つ星を獲得したメキシコのバハカリフォルニア州エンセナダ市のレストランのアニマロン（Animalón）は7月20日、日本産の冷凍両貝付きホタテを用いた創作料理を披露した（注）。

創作料理に用いられた日本産ホタテは、6月に商業ベースでメキシコに初輸入され、エンセナダ市に拠点を持つ日系水産物輸入卸業者のタイドウェイ（Tideway）によって提供された。創作料理を提供したアニマロンのエグゼクティブシェフのオスカル・トーレス氏は「水産品が有名なバハカリフォルニア州にも形状がホタテに似た二枚貝は数種類存在するものの、ホタテはそれらのどれとも違う旨味（うまみ）と甘みを持ち合わせており、唯一無二のものだ」と評価した。また、メキシコでは二枚貝の片方を貝料理の皿として利用して提供することも多く、ホタテを両貝のまま提案したことは同レストランの他の料理人にも高評価だった。

日本のホタテを利用して創作料理を提供したオスカル・トーレス氏（ジェトロ撮影）

オスカル・トーレス氏が調理したホタテの創作料理（ジェトロ撮影）

日本産水産物をメキシコのガストロノミー界に届けるタイドウェイ

タイドウェイは、バハカリフォルニア州産の畜養クロマグロの販売と輸出を、長年手掛けてきた。クロマグロの輸出先として、新型コロナ禍前はそのほとんどを日本が占めていたが、パンデミック中の日本国内の外食産業の落ち込みの影響で日本への輸出が急減した。しかし、同時期に米国での家庭調理向けの巣ごもり需要が増し、米国輸出比率が一気に高まった。またそのころ、メキシコ国内での良質なマグロへのニーズと日本食レストランの増加などで、国内販売比率も高まったことと、円安が急速に進んだ影響も受けて日本向けの比率は以前よりも低くなっている。また現在は、東京の豊洲市場から輸入する新鮮な日本産水産物をメキシコ国内レストラン向けに販売している。社長の佐藤大地氏は「メキシコ人の素材への関心度が高まっている。顧客のニーズに応えるために、レストランは新鮮で安全な日本産の水産物を求めている」とコメントした。

メキシコ・モンテレイ市の展示会で日本産水産物を紹介する佐藤大地氏（ジェトロ撮影）

（注）2024年5月14日にメキシコ初のミシュランガイドが発行された。掲載されたレストラン157店舗のうち、エンセナダ市周辺は州全体33店舗中の28店舗を占め、1つの地域での獲得数の多さに注目が集まった（2024年6月6日記事参照）。

（志賀大祐）

（メキシコ、日本）