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ジョージアで親ロシア路線の与党が議席の過半数確保も、EU統合路線の野党は結果認めず(ジョージア、EU、米国、ロシア)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月29日 14時35分

ジョージア選挙管理委員会の発表(10月27日)によると、前日の26日に実施された議会選挙で、親ロシア路線の与党「ジョージアの夢」が54.1%の票を獲得して勝利した。投票率は58.9%だった。野党寄りのテレビ局などが実施した出口調査の結果では、与党支持が4割程度だったため、野党側は開票時に不正があったと主張し、サロメ・ズラビシビリ大統領も27日、選挙ではさまざまなかたちで多くの選挙違反があったとして「偽造された」選挙結果を認めないと述べた。同大統領と野党は支持者に28日の抗議集会への参加を呼び掛け、数千人が参加した。

今回の選挙には18の政党が参加し、定数150の議席が初めて完全比例代表制で争われた。与党のほか、議席獲得に必要な5%の得票率を上回った政党は、「変化のための連合」(10.9%)、「統一国民運動」(10.1%)、「強いジョージア」(8.8%)、「ジョージアのために」(7.8%)で、いずれもEU統合路線を支持する野党連合の主力政党だ。与党は議席の過半を占めて政権を維持したが、目標としていた憲法改正に必要な絶対多数の113議席には及ばなかった(ニュース・ジョージア10月26日)。

同国では2024年5月に反スパイ法、10月にLGBT規制法が成立し、民主主義の後退だとして、欧米との関係が悪化していた。国際選挙監視団は、緊張した状況の中、政治資金面の不均衡や選挙運動期間中の一部有権者への圧力行使など、平等性と透明性を欠いた選挙だったと評した。国外からの反響も大きく、ハンガリーのビクトル・オルバン首相は選挙結果の最終発表を待たずに「ジョージアの夢」を祝福し、28~29日の首都トビリシ訪問を決定した。これに対し、欧州13カ国の閣僚がジョージアの選挙に関する共同声明(10月28日)で、同首相のジョージア訪問は時期尚早で、EUを代表していないと批判した。米国のアントニー・ブリンケン国務長官は27日、国際規範のあらゆる違反を非難し、徹底的な調査を求める国際監視団の呼びかけに賛同すると述べた。ロイター通信(10月27日)によると、欧州理事会のシャルル・ミシェル常任議長はジョージア議会選挙の不正疑惑について解明を求め、この問題を11月のEU首脳会議の議題に含めると述べた。

27日の記者会見でロシアによる選挙介入に関する質問を受けたイラクリ・コバヒゼ首相は、ジョージアにはロシアの影響下にある政党やメディアは存在しないので、ロシアは影響力を行使できないと返答した。ロシアとの外交関係再開に関する質問には、国土の10%がロシアに占領されている状況下で、それはあり得ないと否定した(「Qafqazinfo」10月27日)。

(小林圭子)

(ジョージア、EU、米国、ロシア)

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