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米エネルギー省、FTA非締結国へのLNG輸出を認可、一時停止後で初(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月5日 11時25分

米国エネルギーインフラ企業のニュー・フォートレス・エナジー(NFE)は9月3日、米国エネルギー省(DOE)から、液化天然ガス(LNG)の自由貿易協定(FTA)非締結国向けの輸出認可を取得したと発表した。DOEは8月31日に、NFEに対する輸出認可を決定していた。バイデン政権が2024年1月にFTA非締結国向けLNG輸出認可の一時停止を発表して以降(2024年1月30日記事参照)、初めての認可となる。

今回許可されたのは、NFEのメキシコ・アルタミラ沖に位置するFast LNG 1からのFTA非締結国への年間最大140万トンの輸出だ。米国では天然ガス法(NGA)の下、LNGの輸出には「公共の利益」が必要とされる。FTA締結国への輸出に対しては、公共の利益があるとみなされるが、FTA非締結国向けに対しては、DOEなどによる審査が行われる。DOEは今回、NFEによるFTA非締結国向けのLNGの輸出は、世界のLNG供給を多様化し、米国の同盟国および貿易相手国のエネルギー安全保障を向上させられるとして、公共の利益と矛盾しない、と判断した。NFEは既にFTA締結国向けのLNG輸出の認可を得ていることから、プレスリリースで「世界中の市場と顧客にLNGを輸出できる」と述べている。

なお、NFEは認可期間を2050年12月31日までで申請していたが、認可されたのは2024年8月31日から2029年8月30日までの5年間となった。DOEは認可期間について、エネルギー源の多様化に対するコミットメントの高まりと、2030年以降の世界の天然ガス需要の不確実性を考慮すると短期・中期的な判断しかできない、と説明している。ただし、NFEは今回の認可から2年が経過した後、2050年12月31日まで延長するための申請が可能となっている。

LNGの輸出を巡っては、米国内で意見の対立が続いている。気候変動対策を推進するバイデン政権は2024年1月、天然ガス産業は過去10年間で変容し、安全保障や環境への配慮など、審査内容を更新する必要があるとして、FTA非締結国への輸出認可の発給を一時停止すると発表した。この決定に対して、環境保護団体などは賛成する一方で、共和党議員を中心に反発もみられ、7月にはルイジアナ州の連邦地方裁判所のジェームズ・ケイン判事が、16州の司法長官(共和党)によるLNG輸出認可の一時発給停止の解除を求める訴えを認め、DOEに対して審査再開を命じた。DOEはこの決定を不服として、控訴状を提出している。DOEの広報担当者は、今回の決定について、NFEが輸出できるLNGの総量が増えるわけではなく、「欧州の同盟国を含むFTA非締結国への輸出可能量が約3%増加する」「DOEはLNG輸出に関する分析を更新し続け、最新の科学に導かれた最良の情報が、今後のLNG輸出申請の審査に考慮されるようにする」と述べ(政治専門紙「ポリティコ」9月3日)、慎重な姿勢を強調している。

(赤平大寿)

(米国)

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