米大統領選でトランプ氏に勝利もたらした選挙戦略、米シンクタンク分析(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月11日 13時50分
米国のシンクタンク、ブルッキングス研究所は11月6日、大統領選挙での共和党候補ドナルド・トランプ前大統領の勝利(2024年11月7日記事参照)についての分析を発表した。
今回の選挙では、トランプ氏は7つの激戦州(スイングステート)の全てで勝利し、一般投票でも7,478万票の過半数を獲得した(AP通信、日本時間11月11日午前10時25分)。
分析では、トランプ氏の勝利に貢献した3つの戦術的選択を挙げている。第1に、トランプ氏と支持者との強い個人的な絆が動員活動の大半を担うと確信したため、トランプ陣営は伝統的な投票促進組織に多額の投資をする代わりに、支援組織に頼った。
第2には、トランスジェンダー問題に対する民主党候補カマラ・ハリス副大統領の姿勢に対して、南部全域で放送されるネガティブな広告に多額の投資を行った。これが常識的な中道左派候補として訴えようとするハリス氏の努力を弱めるのに役立ったと示唆する。
第3は、人工妊娠中絶について、トランプ氏は早い段階でこの問題については、各州が決定すべきと宣言し、全国一律での人工妊娠中絶の禁止を拒否したことで、緩和的姿勢を示した。長年の人工妊娠中絶反対派の多くは失望したが、トランプ氏はエバンジェリカル(白人福音派)の票の81%を獲得し、大きな影響はなかった。
一方、ハリス氏については、ジョー・バイデン大統領が選挙戦から撤退する時期が遅かったことを指摘し、ハリス氏がバイデン氏と距離を置くことが有権者に伝わらなかったことや、メディアのインタビューを当初避けたことで、臨機応変に対応することを恐れているとの印象を与えたことなどを挙げている。また、トランプ氏が民主主義への脅威というハリス氏の主張も功を奏さなかったとしている。
選挙結果を踏まえて、民主党は敗北の原因について総括を迫られるが、勝利したトランプ氏も、選挙戦中に立てた広範な公約を守るよう迫られる。同氏が公約に掲げた大規模な関税を課しながらも、家庭の負担の増大やインフレを再び引き起こさない状況を実現することや、米国の世界的な関与を減らしながらウクライナと中東の紛争に対応するなど、困難な課題に直面するとしている。
(松岡智恵子)
(米国)
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