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米財務省、対外投資規制プログラムの規制案発表、最終規則制定に向けパブコメ募集(米国、中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月24日 11時50分

米国財務省は6月21日、対外投資規制プログラムに関する規制案を発表した。2023年8月に発表した規則案を改善したもので、パブリックコメントをあらためて募り、最終規則の作成を目的としている。パブリックコメントは連邦政府のポータルサイトから提出可能で、8月4日に締め切る。近く官報で正式に公示する。

ジョー・バイデン米大統領は2023年8月に、米国から懸念国への対外投資に関する大統領令を発表した。大統領令では、米国人(注1)が半導体・マイクロエレクトロニクス、量子情報技術、人工知能(AI)の3分野で、懸念国の個人・事業体・政府と取引する場合に、財務省への届け出を義務付け、国家安全保障に特に深刻な脅威をもたらす場合には、取引を禁止するプログラムを創設すると定めた(注2)。懸念国には、中国(香港とマカオを含む)のみを指定した(注3)。これを受け、財務省は同月、具体的なプログラム創設のため、規則策定案事前公告の(ANPRM)を公示し、パブリックコメントを募集した(2023年8月14日記事参照)。

財務省が発表したファクトシートによると、今回発表した規則制定案公告(NPRM)は、ANPRMに対するパブリックコメントを踏まえ、AIシステムに関する取引の適用範囲や、規則の義務を発動するに当たって取引に関する特定の事実や状況について米国人が「知っている」ことの基準(注4)、LP投資の対象、例外範囲などを修正した。

NPRMで提案している届け出や禁止対象となる取引は次のとおり。

〇半導体・マイクロエレクトロニクス

禁止対象:電子設計自動化ソフトウエア、特定の製造・高度パッケージングツール、特定の高度集積回路の設計・製造・パッケージング、スーパーコンピュータに関連する取引
届け出対象:禁止対象に含まれない集積回路の設計、製造、パッケージングに関連する取引

〇量子情報技術

禁止対象:量子コンピュータの開発や重要部品の製造、特定の量子センシングプラットフォームの開発や製造、量子ネットワーキングや量子通信システムの開発や製造に関連する取引(注5)

〇特定のAIシステム

禁止対象:特定の最終用途にのみ使用されるように設計された、または特定の最終用途に使用されることを意図したAIシステムの開発に関連する取引
届け出対象:禁止対象に含まれないAIシステムの開発に関連する取引

今回のNPRMは対外投資の一部を規制するルールの作成を目的としているが、財務省は発表で、米国の国家安全保障にリスクをもたらす機微技術や製品に関わる特定の対外投資に重点を置いた限定的で対象を絞ったプログラムだとして、内外に開かれた投資環境を促進するという米国の姿勢に変化はないことを強調している。

(注1)米国市民、永住者、米国の法律または米国内の管轄権に基づいて組織された事業体(米国外の支社も含む)、米国内に存在する個人・事業体を指す。

(注2)大統領令に基づく対外投資規制の概要については、2023年10月2日付地域・分析レポート参照

(注3)懸念国の定義は規制によって異なるので注意が必要。例えば、機微な個人データの大規模移転防止を指示する大統領令では、中国、ロシア、イラン、北朝鮮、キューバ、ベネズエラを指定している(2024年2月29日記事参照)。

(注4)届け出などの義務は、米国人が対象となる取引が規制対象になることを「知っている」場合に課される。

(注5)量子情報技術では、届け出対象は提案されていない。

(赤平大寿)

(米国、中国)

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