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4月の米消費者物価指数、総合、コアとも上昇率が鈍化(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月16日 14時40分

添付資料PDFファイル(272 KB)

米国労働省が5月15日に発表した4月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比3.4%上昇(前月3.5%)、変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は同3.6%上昇(前月3.8%)と、上昇率はいずれもわずかに鈍化した。前月比でみても、CPIは0.3%上昇(前月0.4%上昇)、コア指数も0.3%上昇(前月0.4%上昇)となった。CPIの鈍化は前年同月比でみた場合には4カ月ぶり、前月比でみた場合には6カ月ぶりとなった(添付資料図1、表参照)。なお、市場予測はCPIが前年同月比3.4%上昇、前月比0.4%上昇、コア指数が前年同月比3.6%上昇、前月比0.3%上昇で、おおむね一致した。

品目別に前年同月比でみると、エネルギーは2.6%上昇(前月2.1%上昇)と引き続き上昇、このうちガソリンは1.2%上昇(前月1.3%上昇)だった。食料品は、2.2%上昇(前月2.2%上昇)と変わらなかったが、外食は4.1%上昇(前月4.2%上昇)と引き続き伸びが鈍化している。エネルギーと食料品を除いた財は1.3%下落(前月0.7%下落)と下落幅が拡大した。内訳では、中古車が6.9%下落(前月2.2%下落)、新車が0.4%下落(前月0.1%下落)と下落幅が拡大する一方、衣料品は1.3%上昇(前月0.4%上昇)と上昇幅が拡大している。

エネルギーを除くサービスは、前年同月比5.3%上昇(前月5.4%上昇)と上昇幅がわずかに鈍化した。物価のうち3割のウエートを占める住居費は、5.5%上昇(前月5.7%上昇)と2カ月ぶりに鈍化した。内訳では、帰属家賃(注1)が5.8%上昇(前月5.9%上昇)とわずかに鈍化し、賃料も5.4%上昇(前月5.7%上昇)と鈍化した。

住居費を除くサービス価格は、前年同月比5.0%上昇(前月4.9%上昇)と4カ月連続で上昇幅が拡大した。内訳をみると、医療サービスが2.7%上昇(前月2.1%上昇)、自動車保険などの高止まりを受けて輸送サービスが 11.2%上昇(前月10.7%上昇)するなど、金融引き締めの影響が効きにくい分野が押し上げに寄与している(添付資料図2参照)。他方で、レクリエーションサービスなど、労働集約的なセクターでの上昇幅は、このところの賃金上昇率の緩やかな低下(注2)を背景として引き続き低下している。労働供給の改善や消費の緩やかな減速を背景とした労働需要の減少に伴って、賃金上昇率は今後も緩やかに低下していく可能性が高い。

今回の発表で、年初来のインフレ率の上昇傾向が一段落したことは、連邦準備制度理事会(FRB)にも一定の安心感を与える可能性がある。しかし、チャールズ・シュワブの首席債券ステラテジストのキャシー・ジョーンズ氏が「(4月のCPIの結果は)今年後半における利下げの可能性の扉を開くものとなった。ただし、FRBが利下げに動くには、インフレ率が低下していることを示す結果があと数回必要だろう」(ブルームバーグ5月15日)と述べているように、今回の結果だけではFRBのスタンス(2024年5月7日記事参照)の変更には至らない可能性が高そうだ。5月14日に行われた講演で、FRBのジェローム・パウエル議長は「順調な道のりになるとは期待していなかったが、(第1四半期のインフレ率は)誰もが予想していたよりも高かった。このことは、われわれが忍耐強く、引き締め的な金融政策がその役割を果たすのを待つ必要があることを物語っている」(ブルームバーグ5月14日)と述べており、利下げにはしばらく時間が必要となる見込みだ。

(注1)自己が所有する住宅(持ち家住宅)に居住した場合、家賃の支払いは発生しないものの、通常の借家や借間と同様のサービスが生産され、消費されるものと仮定して、それを一般の市場価格で評価したもの。

(注2)5月3日に米労働省から発表された4月の雇用統計では、平均時給は前年同月比3.9%と3カ月連続で低下している。中でも、娯楽・接客業や教育・医療サービス業などにおいて上昇率が低下傾向にある。

(加藤翔一)

(米国)

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