広州汽車集団、3年間の行動計画を発表(中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月25日 0時55分
中国自動車大手の広州汽車集団(広汽集団)は11月15日に開幕した第22回広州モーターショーで、2027年までの3年間の行動計画として「番禺行動」(注1)を発表した。同行動計画では、4つの改革措置(ブランド力の向上、製品の競争力向上、技術の先行、国際市場開拓)と5つの保障(一体化した組織、製品開発プロセス、市場化体制、ハイレベル人材、資金に対する保障)を通じ、2027年までに同社の総販売台数に占める自主ブランド(注2)の比率を60%以上とし、自主ブランドのみで販売台数200万台達成を目指すとした。
広汽集団は「番禺行動」発表の背景について、「現在、中国自動車市場では3カ月連続で販売台数に占める新エネルギー車(NEV)の割合が50%を超え、国産ブランド車がすでに競争力を持ち始めた。同時に、自動車業界ではNEVのスマート化など、製品構造や競争相手が根本的に変化しており、同社を含む自動車企業は新たなスタートラインに立たされている」との認識を示した。
「番禺行動」によると、広汽集団は今後3年間で、自主ブランドで22の新車種を発売するとしており、そのうち7車種は2025年に発売予定。これらには、純電動車(BEV)、レンジエクステンダー車(REEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)など新エネルギー車で主要となっている動力形式をすべて採用する。自主ブランドの伝祺(トランプチ)では、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と提携し、ファーウェイのハイレベルスマート運転技術を搭載した中高級スポーツ用多目的車(SUV)、多目的乗用車(MPV)、セダンの3タイプを発売する。新エネルギー車の電池技術では、弾倉電池(注3)、超急速充電技術などすでに同社で量産を開始している技術を搭載した車種のほか、2026年には全固体電池(注4)が車両に搭載される予定だ。海外進出については、2027年までに世界100の国と地域に進出し、輸出台数50万台突破を目指す。また、同社は今後3年間、研究開発に500億元(約1兆500億円、1元=約21円)超を投入し、質の高い発展を推進するとした。
広汽集団の馮興亜社長は「私たちは風向きを変えることはできないが、帆の角度を調整し、新しい航路に適応することはできる」と述べ、改革、調整、モデルチェンジを重要視すべきとの見方を示した(「21世紀経済報道」11月18日付)。
(注1)2024年11月2日、広汽集団は本部を広州市番禺区の「番禺自動車城」に移転した。本部移転にともない、同社は自社ブランドの管理モデルを戦略管理から経営管理に転換し、自社グループ企業との協力を強化する。また、研究・生産・販売の機能を1つに統合し、運営コストを削減と経営管理効率の向上により、製品競争力を高めるとした。
(注2)現在、広汽集団が展開する自主ブランドは伝祺(トランプチ)、AION(アイオン)、Hyptec(ハイプテック)の3ブランド。
(注3)弾倉電池は、「電池セル内のショートを防ぎ、もしショートした場合は熱暴走を防ぎ、熱暴走しても熱拡散を防ぐ」という設計思想に基づき設計された、三元系リチウムイオン電池およびリン酸鉄リチウムイオン電池。熱暴走したセルを有効的に隔て、セルの電圧や温度などの異常を検出すると、自動的に電池の急冷システムが作動し電池の温度を下げる技術で、従来よりも安全性能を高めた。
(注4)全固体電池とは、EV(電気自動車)のリチウムイオンバッテリーの電解質が固体である電池。従来のリチウムバッテリーよりもエネルギー密度が高く、急速充電が可能なため、複数の企業が製品化のための研究開発を進めている。
(梁梓園)
(中国)
外部リンク
- ICC、ネタニヤフ首相らに逮捕状発行、国連安保理はガザの即時停戦・人質解放決議案を否決(米国、オランダ、イスラエル)
- トランプ次期大統領の経済対応を信頼するも、国内団結は懐疑的、米シンクタンク調査(米国)
- JX金属、米アリゾナ州で半導体関連材料製造工場のオープニングセレモニー開催(日本、米国)
- バイデン米政権、UFLPA事業者リストに中国の食品企業など29社追加(中国、米国)
- 複数の米シンクタンク、トランプ次期政権の一層の対中強硬姿勢を指摘、中国側の受け止めも解説(中国、米国)
- 欧州議会中道3会派、欧州委員人事案で合意、欧州委員会新体制は12月1日発足へ(EU)
- 中国、日本へのビザ免除再開、滞在期間は30日に(北マケドニア、エストニア、ブルガリア、マルタ、モンテネグロ、ラトビア、クロアチア、中国、日本、EU、ルーマニア)
- サウジ電力会社(SEC)、ネットゼロ達成など包括的なESG戦略策定(アゼルバイジャン、ウズベキスタン、カザフスタン、サウジアラビア)
- ワルシャワのワイン試飲イベントに日本酒蔵元4社が出展(日本、ポーランド)
- 第3四半期のGDP成長率は前期比0.1%、9月単月ではマイナス(英国)
この記事に関連するニュース
-
GACグループ、第22回広州国際オートショーで新エネルギー車を展示し、「パンユー・アクション」を初公開
共同通信PRワイヤー / 2024年11月19日 9時41分
-
固体電池の開発計画が次々に発表、NEVの技術革新につながるか―中国メディア
Record China / 2024年11月15日 18時0分
-
トヨタ新型セダン「bZ7」公開! 全長5m級「ラージモデル」25年に発売か トヨタ「中国市場に寄り添った車種展開を提供」と決意示す! 中国・広州ショーで披露
くるまのニュース / 2024年11月15日 13時31分
-
世界新エネルギー車協力発展フォーラム、上海で開催(中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月13日 9時30分
-
出遅れた日本EV「中国技術の活用」で巻き返しへ 電池に車台…「手法」が激変する新車開発の今
東洋経済オンライン / 2024年11月8日 10時30分
ランキング
-
1一晩で20万人超が一斉サイクリング、「道一帯が自転車でふさがる」…中国政府は抗議行動再燃を警戒し外出規制も
読売新聞 / 2024年11月25日 19時53分
-
2「ネタニヤフ氏に死刑を」 イラン最高指導者
共同通信 / 2024年11月25日 17時46分
-
3韓国最大野党「共に民主党」の李在明代表に今度は無罪判決 自身が被告の裁判での偽証教唆罪に問われるも 裁判所「検察の証拠だけでは故意があったとみるのは不十分」
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月25日 16時19分
-
4フィリピン大統領、「見逃すわけにはいかない」=副大統領の「殺害」発言に反発
時事通信 / 2024年11月25日 19時44分
-
5ロシア、ウクライナ停戦で次期米政権に期待か ウォルツ氏発言受け
ロイター / 2024年11月25日 20時26分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください