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閣僚理事会、2025年度予算案を採択、医療・国防費に重点(ポーランド)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月13日 13時0分

ポーランド閣僚理事会は8月28日、2025年度予算案を採択した。

2025年度の国家予算は、歳入6,326億ズロチ(約23兆円、1ズロチ=約36円、9月11日ポーランド国立銀行為替レート)、支出9,216億ズロチで、財政赤字は2,890億ズロチとなる。主な支出として、医療費にGDPの6.5%に相当する2,217億ズロチを確保し、2024年度比で約16%増加した。国防費は過去最高の1,243億ズロチに達し、軍隊支援基金を含めると、1,866億ズロチとなり、GDPの4.7%に相当する。

その他の支出としては、年金給付の増額、教員や公務員の給与、住宅分野、社会保障や道路・鉄道事業などの支出も含まれており、幅広い分野に予算が振り分けられた。

2025年の経済予測としては、景気回復を織り込んで、GDP成長率は3.9%(2024年は3.1%)、民間消費4.3%増、総投資額6.4%増、雇用は0.4%増、失業率は4.9%まで低下、平均賃金上昇率は7.1%、インフレ率は5%としている。

一般政府債務残高の対GDP比は、2024年末に54.6%、2025年末に59.8%とし、EU規律(注)に含まれる基準値60%を下回ると予測される。公的債務残高の対GDP比は2024年に43.3%、2025年に47.9%となり、財政法に定めた健全性基準値の55%を下回ることを示した。

ドナルド・トゥスク首相は8月28日の記者会見で「戦争によって経済を含む多くの分野に関して、支出の構造と割合の変更を余儀なくされている。インフレ抑制や、過去数年間の記録的な経済成長、最低賃金の実質的な引き上げ、とりわけエネルギーと鉄道インフラに関連する重要な投資を望んでおり、それを実現してきた」と強調した。

また、ポーランドの大手銀行、ペカオ銀行のアナリストは「2025年度の国防費はGDPの4.7%に達し、国家安全保障への投資拡大として評価されるが、その増加ペースが加速していることにも注目したい。欧州委員会はポーランドの国防支出が2025年にはGDP比3.2%と見込んでいたが、実際にはそれを大きく上回る見通しだ。また、来年度から原子力発電所建設に46億ズロチが投じられ、公共投資は前年比9.3%増加する予定だ。地方自治体の借り入れ能力も向上し、地域への投資が促進されるだろう」と見通しを語った。

(注)EUは、加盟国に対する財政規律要件として、債務残高がGDP比60%を超えないことを定めている。

(林真人、ニーナ・ルッベ)

(ポーランド)

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