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パキスタン政府、IMFと70億ドルの追加融資プログラムに合意(パキスタン)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月22日 0時30分

IMFは7月12日、約70億ドル規模の融資プログラム〔拡大信用供与措置(EFF)、期間37カ月〕の適用について、パキスタン政府とスタッフレベル合意(SLA)に達したと発表した。IMF理事会での承認をもって正式に適用される。

パキスタン政府は今後3年にわたり、IMFの指導下でマクロ経済の安定化に向けた厳しい経済改革を進めることになる。一方で、当面の外貨準備高の確保には成功している。パキスタン中央銀行(SBP)の外貨準備高は、7月5日時点で94億500万ドルと輸入の約2カ月分の水準で推移し、前年から緩やかに増加傾向にあることに加え、IMFの融資によりさらなる増加が見込まれる。

30億ドル(期間9カ月)のIMFのつなぎ融資「スタンドバイ取り決め(SBA)」が2024年4月に終了後、政府はより大規模かつ長期にわたる融資プログラム適用をIMFに求めていた。シャバズ・シャリフ首相が6月25日、大型増税を含む2024/2025年度(2024年7月~2025年6月)の連邦予算案がIMF関与の下で作成されたことを明かすなど(「ビジネス・レコーダー」紙6月26日)、新たな融資プログラムの適用は時間の問題とみられていた。

IMFが要求する改革アジェンダには、納税者数拡大や免税措置削減などによる税収増(注)、国営企業改革および民営化、電気・ガス事業改革および政府累積債務の改善など厳しい内容が並ぶが、IMFの後ろ盾を得ることでデフォルト(債務不履行)リスクは後退する。格付け会社ムーディーズは、IMFの発表を受け、パキスタンの資金確保見通しが改善することを示唆した(「ドーン」紙7月16日)。

政府は、2024/2025年度のGDP成長率を3.6%と予測する(2024年6月24日記事参照)。外国為替は2024年1月以降、1ドル=278ルピー前後で安定しているほか、インフレ率は10%台前半に落ち着きつつあり、SBPは6月11日に政策金利を22.0%から20.5%に引き下げた。パキスタン経済は徐々に正常化して緩やかな成長軌道に乗り始めており、政府は改革推進で経済安定化を図りながら、成長の実現も期待している。

(注)追加融資プログラム期間中に3ポイント引き上げを目指す。なお、2023/2024年度税収のGDP比は8.9%だった。

(山口和紀)

(パキスタン)

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