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2025年度国家予算案は過去最大、SST拡大など増税へ、最低賃金は13%引き上げ(マレーシア)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月25日 0時55分

添付資料PDFファイル(162 KB)

マレーシアのアンワル・イブラヒム首相兼財務相は1018日、2025年度(202511日~1231日)の国家予算案を連邦議会に提出した。アンワル政権が予算案を提出するのは3回目で、20212025年の国家中期計画の第12次マレーシア計画(2023915日記事参照)下では最後となる。

写真 国会で予算演説を行うアンワル首相兼財務相(財務省ウェブサイトより)

国会で予算演説を行うアンワル首相兼財務相(財務省ウェブサイトより)

歳出規模は2024年実績見込み比で、3.3%増の4,210億リンギ(約14兆7,350億円、1リンギ=約35円)と、当初時点の歳出額としては、前年に続いて過去最高を更新した(添付資料表参照)。項目別では、最も大きい額の運輸が前年比8.0%増のほか、教育・研修(5.3%増)、保健(11.6%増)などで増額が目立つ。歳入は5.5%増の3,397億リンギで、財政赤字の対GDP比は、2023年の5.0%を大幅に下回る3.8%に抑える見通し。

同日発表した経済見通しでは、2024年の実質GDP成長率を4.8~5.3%、2025年は4.5~5.5%とした。2024年については、8月時点の政府見通し(4.0~5.0%、2024年8月27日記事参照)から上方修正した。2024年のインフレ率は2.0~3.5%と見込んだ。

高所得者層を除く国民への負担は回避

2025年度予算のテーマは「経済活性化、変化の創造、国民の繫栄」で、生活の底上げと成長力強化に注力する。これを反映した税制改正案では、売り上げサービス税(SST)の課税対象を2025年5月に拡大し、高級輸入食材や手数料ベースの金融サービスなどを含める。2025課税年度から、10万リンギ超の配当所得〔従業員積み立て基金(EPF)配当金や国外所得を除く〕に2%の配当税を課すことも明らかにした。また、2026年までに鉄鋼とエネルギー産業を対象に、炭素税の導入を目指す。

補助金支出は一般歳出の15.7%を占める。レギュラーガソリンに当たるRON95への補助金は2025年半ばに対象を絞るが、外国人や富裕層など上位15%の高所得者層以外は影響を受けないと強調した。

最低賃金、2025年2月に1,700リンギへ

日本企業も懸案していた最低賃金については、2025年2月に現行の1,500リンギから約13%引き上げ、1,700リンギとする。ただし、従業員5人未満の企業には6カ月間の猶予を設ける。産業界の要請(2024年7月16日記事参照)も受け、急激な引き上げや即時施行は回避した。

外国人労働者の人頭税については、外国人雇用比率に応じて税率を調整する多層型人頭税を2025年初頭に導入する。同制度は、2024年末を順守期限とするいわゆる80-20ルール(2022年7月22日記事参照)に代わる採用をマレーシア製造業者連盟(FMM)などが訴えていた。EPFについては、段階的に外国人にも加入を義務化する。

企業活動に対する優遇措置としては、スマート物流施設への税制優遇や、2025年7月に完全導入する電子インボイス制度に関する設備投資への減税を拡充する。また、2025年からのグローバルミニマム課税導入(2023年10月23日記事参照)に備え、戦略的投資に対する税額控除を検討する。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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