米ロングビーチで水素・燃料電池セミナー開催、際立つ日本企業の存在感(米国、日本)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月23日 0時45分
米国カリフォルニア州ロングビーチで、「水素・燃料電池セミナー」が1月14~16日に開催された。米国燃料電池・水素エネルギー協会(FCHEA)が主催し、日本がカントリースポンサーとなり、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、水素バリューチェーン推進協議会(JH2A)、日本水素フォーラム(JH2F)、ジェトロが協力した。同セミナーの案内で、日本が長年、水素や燃料電池技術の研究や開発、導入で業界をリードしてきたことが紹介された。
セミナーでは、2017年に日本が世界で初めてとなる国家戦略(注)を策定後、同様の戦略を策定する国が急増したことや、バイデン政権当時の4年間で多くのプロジェクトが立ち上がったこと、政府による引き続いての助成の必要性などが説明された。また、日本企業によるパネルディスカッションでは、ホンダ、ENEOS、三菱重工業、東レが登壇し、供給サイドと需要サイドのギャップを埋めていくことや、関係者間で連携していくことの重要性が共有された。米国の政策見通しに関するパネルディスカッションでは、トランプ政権の動向は不透明ながらも、「共和党が主張するエネルギードミナンス(優勢)の考えから、米国では石油や天然ガスの生産量が増加することが予想される。しかし、水素の貯蔵可能性などを考慮すると、水素はエネルギー安全保障の実現に貢献し、エネルギードミナンスの考えに当てはまる」といった話が聞かれた。
展示会場では水素や燃料電池に関連した技術・製品を紹介した。全体で60の企業・団体が出展し、そのうち日本からはジャパンパビリオンに出展した企業を含めて約20社が出展。出展した日本企業に話を聞いたところ、「これまで当社が水素関連事業を行っているという認知度が低いと感じていたが、今回出展してみて、多くの参加者に関心を持ってもらっている。引き続き積極的に当社の製品をPRしていくことが重要と感じた」「水素をどこから仕入れるか、需要家をどのように探していくかなど課題はあるが、いつでも展開できるよう技術では負けないように準備しておきたい」といった声が聞かれた。
カリフォルニア州、トラックの排ガス規制に関する連邦政府への承認要請取り下げ
展示会場では燃料電池車両の展示も行われた。カリフォルニア州では、ディーゼルエンジンを搭載した大型トラックの新車販売を2036年までに段階的に廃止するという規則を2023年5月に制定し(2023年5月10日記事参照)、関連する企業は検討・対応を進めてきた。同規則実施に当たって同州は連邦政府に承認要請を行っていたが、ロイター通信などによると、同州は1月14日に要請を取り下げたとしている。トランプ政権によって拒否されることが予想される中で、事前に回避したとみられる。新政権の下で今後、連邦レベルのみならず、州政府レベルの政策動向も注視していく必要がある。
日本企業によるパネルディスカッション(ジェトロ撮影)
ジャパンパビリオン(ジェトロ撮影)
セミナーの案内看板(ジェトロ撮影)
(注)2023年に改定。内閣官房ホームページを参照。
(堀永卓弘)
(米国、日本)
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