米国土安全保障省、繊維産業の不正貿易取り締まり強化へ行動計画発表(米国、中国、メキシコ、ホンジュラス)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月15日 0時20分
米国国土安全保障省(DHS)は4月5日、繊維産業における不正貿易の取り締まり強化に向けた行動計画を発表した。DHSに属する米国税関・国境警備局(CBP)と国土安全保障捜査局(HSI)が中心となり、法令違反者の責任を追及し、国内繊維産業の保護に力を入れる。
行動計画では、少額貨物のスクリーニング改善、外国施設での監査強化、ウイグル強制労働防止法(UFLPA)の執行強化など6つの対策を挙げた。少額貨物に関しては、米国では非課税基準額(800ドル)以下の輸入貨物には簡易的な通関手続きが適用されることから、違法貨物の抜け穴になっているとの指摘があり、CBPも問題視する(2024年3月29日記事参照)。計画では、貨物の同位体検査などを拡大して、違法な商品の輸入を阻止する方針だ。UFLPAについては、輸入禁止対象の事業者のリストを拡大する。同リストには既に繊維関連の中国企業を含む30社・団体(注)が掲載されているが、DHS高官はかねて対象企業の追加を重視する意向を示している(2024年1月11日付地域・分析レポート参照)。
DHSのアレハンドロ・マヨルカス長官は2024年1月、繊維関連企業が加盟する全米繊維団体協議会(NCTO)とオンライン会合を行った後、CBPやHSIに対し、繊維産業における不正な貿易慣行を取り締まるための包括的な計画を策定するよう指示していた。同会合でNCTOは、自由貿易協定(FTA)のルールやUFLPAに違反する悪質な事業者によって米国の繊維産業が被害を受けている、と訴えていた。
マヨルカス長官はプレスリリースで、「(米国の)繊維産業はほかの産業と同様、強制労働や関税法違反などの違法行為によって価格を不当に引き下げる競合相手から損害を被っている」と指摘し、今回の計画を通じて、米国の労働者と産業を保護する姿勢を強調した。DHSの発表によると、既に計画は実行されており、例えばメキシコとホンジュラスの工場44カ所などで監査を行ったという。この監査では、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)や米国・中米諸国・ドミニカ共和国自由貿易協定(CAFTA-DR)の規則順守を検証したとしている。
(注)掲載事業者と併せて指定されている子会社や関連組織を除く。
(甲斐野裕之)
(米国、中国、メキシコ、ホンジュラス)
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