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能登半島地震からの復興にエール、東北・九州・北陸の中小企業が海外展開の取り組み紹介(石川、富山、福井、熊本、岩手、日本)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月1日 0時30分

ジェトロは6月25日、2024年元日に発生した能登半島地震からの復興支援を目的としたシンポジウムを、石川県商工会議所連合会との共催で、金沢市内で開催した。東日本大震災や熊本地震での被災を乗り越え、海外ビジネスに取り組む岩手県と熊本県の企業経営者による講演のほか、北陸3県の中小企業がパネルディスカッションに登壇し、自社の海外展開の取り組みを紹介した。約90人が参加した。

講演では、熊本県益城町でサツマイモ製品の生産・加工・販売を行う農業法人コウヤマの香山勇一代表取締役会長が登壇し、熊本地震や新型コロナウイルス禍に見舞われながらも、海外展開を継続していると報告した。現在も円安に伴うコスト高という逆境にあるが、ピンチをチャンスと捉える発想が重要と述べ、「すぐに結果が出なくても、輸出への取り組みは次世代にとっての希望となり得る」とし、継続的に輸出に取り組む重要性を強調した。

写真 コウヤマ(熊本県)代表取締役会長の香山勇一氏による講演(ジェトロ撮影)

コウヤマ(熊本県)代表取締役会長の香山勇一氏による講演(ジェトロ撮影)

岩手県二戸市の酒蔵、南部美人の五代目蔵元である久慈浩介氏は動画出演し、応援メッセージを披露した。同社は1997年から輸出を開始し、現在は62カ国に展開して、生産量の40%が輸出向けという。久慈氏は「東日本大震災によって東北地域の酒蔵は大きな被害を被ったが、復興できた」「能登・北陸の酒蔵も必ずや復活できる」と語った。海外展開のポイントとして「海外での評価基準は規模ではなく、価値だ。価値があると思ってもらえる商品を提示するために、製品開発に磨きをかけていくことが肝要」と述べた。

パネルディスカッションでは、輸出に取り組む北陸3県の中小企業4社などが登壇した。富山県氷見市の和菓子メーカー井上菓子舗の製造責任者の井上真由美氏は、輸出に取り組むきっかけとして、主要な冠婚葬祭向けの受注生産では将来、売り上げを維持するのが難しくなるとの認識から、県が実施する米国での展示会に出展することになったと説明。出展に当たり、真剣に取り組むのならば、とジェトロを紹介され、「新規輸出1万者支援プログラム」に登録して、さまざまなサポートを受けたと説明した。

写真 パネルディスカッション(ジェトロ撮影)

パネルディスカッション(ジェトロ撮影)

海外展開に取り組むメリットや社内に生じた良い変化について、金沢市の縫製会社ヒロの大沼洋美代表取締役は、日本国内では原材料費や燃料費が高騰した分を商品価格に転嫁すると売り上げ減に直結するが、海外では商品価値を認めてもらえれば、受け入れてもらえる点を指摘した。また、自社製品がフランスのルーブル美術館で販売されたことで、日本でのブランド価値が向上した経験を紹介し、海外での認知が日本の売り上げ増につながると述べた。

石川県輪島市で輪島塗を製造販売する田谷漆器店の田谷昂大代表は、初めは海外からの特殊な発注に乗り気でなかった職人たちも、それが続くと日常化し、今では受注に応じるために、職人自ら工程や素材について進言してくれるようになり、会社の対応力が向上したと説明した。福井県小浜市で箸の製造販売を行うスタイル・オブ・ジャパンは、2019年にドイツで開かれた国際消費財見本市で審査員投票1位を獲得。同社の大森一生代表取締役は、このことをきっかけに、福井県のテレビや新聞などのメディアに取り上げられ、社員が海外展開に関心を持つようになって、やりがいの向上にもつながったというエピソードを披露した。

その他、「展示商談会などに1回出てそれで終わりではなく、次につながるような支援があると、ありがたい」(香山氏)という要望や、「国内商談会とは異なり、海外商談会ではその場で価格交渉が始まる場合があり、そのための準備をしておかなければ次はない」(大沼氏)などの意見が出た。

(齋藤寛)

(石川、富山、福井、熊本、岩手、日本)

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