政党への企業献金が解禁へ(ペルー)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月14日 13時10分
ペルー議会常任委員会は1月7日、政治機関に関する法律(第28094号)の改正法案を可決した。早ければ4月中にも施行される見通しで、営利活動を行う国内企業による政党への献金が事実上解禁されることとなる。
献金は、1つの政党に対し、年間で最大200UIT(約4,494万円、注)まで可能となる。また、同一企業が複数の政党に献金することもできるが、各政党への献金の年間合計額は500UITを上限とする。
政治資金の透明化を図るため、0.25UITを超える献金の場合には、金融機関を経由することを義務付ける。また、社名を伏せて献金したい場合には、国営銀行バンコ・デ・ラ・ナシオン(Banco de la Nación)で申し込める。この場合、政党に入金されるが、政党関係者に企業名は通知されない。
国内の公営企業・公社、非営利団体、宗教団体、海外の営利企業は献金できない。
汚職対策からこれまで認められていなかった企業献金が解禁される背景には、2026年4月にも実施が見込まれる総選挙に向け、政治資金を確保したい政党の思惑と、対策が進まない非合法な献金に対して政治のゆがみを懸念する声がある。かねて、産業界から企業献金に強い反対の声は出ておらず、むしろ、違法な献金で政策にゆがみが生じるリスクを踏まえて、政治資金の透明化のルールを設けた上で企業が献金できるようにすべきとの意見が大半を占めていた。ペルーの主要産業の鉱業では、違法鉱業への取り組みが喫緊の課題となっているが、違法操業の関係者から献金を受けている議員がいるため、対策が進まないとの報道もみられる(2024年12月25日記事参照)。
(注)課税単位。1月は1UIT=5,350ソル(約22万4,700円、1ソル=約42円)。
(石田達也)
(ペルー)
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