海外7カ国の食品バイヤーが石川県、富山県を訪問、北陸企業と商談実施（石川、富山、福井、新潟、米国、コロンビア、フランス、スペイン、インド、マレーシア、アラブ首長国連邦）

ジェトロは8月18～20日、海外7カ国の食品バイヤーを石川県、富山県に招聘（しょうへい）し、北陸企業とのマッチング商談会や試食会、産地視察を実施した。2024年1月1日に発生した能登半島地震からの復興支援の一環として開催し、被災企業も参加した。金沢市での海外食品バイヤーと対面方式で行う大規模商談会は2020年2月以来4年半ぶりで、新型コロナウイルス禍後では初めて。

今回の北陸へのバイヤー招聘は8月21～22日に東京で開催される「アグリフードEXPO／ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」の枠内で行われる「ジェトロ食品輸出商談会」に合わせて実施。これに際して招聘した14カ国15人のバイヤーのうち、7カ国〔米国、コロンビア、フランス、スペイン、インド、マレーシア、アラブ首長国連邦（UAE）〕の食品バイヤーが北陸地域の食材を求めて、8月19日に金沢市で商談会を行った。

同商談会には35社（石川県16社、富山県8社、福井県4社、新潟県6社など）が参加。参加企業からは、「大手企業の製品とは異なる当社独自のビーガン対応の調味料を評価してもらった」「すぐに見積書の提出やサンプルを送ってほしいというリクエストがもらえた」といった声があった。バイヤーからも、「日本産のコメ加工品を求めており、現地ニーズに合致する製品の紹介があった」「提案してもらったビーガン対応の調味料は、体形維持に関心のある顧客を抱えるフィットネスクラブ向けに売り込みができる」「今回商談した北陸企業はいずれもユニークな製品を提供しており、他社との差別化を図るためにぜひ当社が取り扱いたい」といったコメントが聞かれた。

商談会の様子（ジェトロ撮影）

商談会前日の18日には「サンプルテイスティング会」を開催。北陸地域の企業19社（石川県8社、富山県5社、福井県2社、新潟県2社など）が食材や調味料などを持ち寄り、自社製品のプレゼンテーションを行いながら、具体的においしく食べる方法（料理）をバイヤーに紹介した。

サンプルテイスティング会（ジェトロ撮影）

サンプルテイスティング会と商談会の両方に参加した企業については、企業、バイヤーの双方から、商品説明と試食が一度あった上で商談に臨むことができたため、相手先企業や製品についての理解が深まり、有意義なやり取りを行うことができたといった評価があった。

今回参加した企業、バイヤーの中には、効果的な商談に向けて、入念な準備や相手方のリクエストに対する柔軟な対応を講じる事業者が見られた。EU加盟国から参加したバイヤーは「商談相手の選定に際しては、EUのルールに対応できそうな事業者のみに絞った。商談するサプライヤーの公式ウェブサイトに全て目を通し、事前に相手の企業・製品を想像した上で商談に臨んだため、外れはなかった。すぐに取引ができる企業に出会え、大変有意義な機会となった」といったコメントがあった。また、参加企業の中には「商談会前日のサンプルテイスティング会でのバイヤーのコメントを受けて、味付けを調整した上で商談会に臨んだ。その結果、『これならばミシュランの星付きレストランなど当社の顧客も気に入るはず』と大変高い評価を受け、即決でオーダーをしてもらえた。今回のイベントへの参加に当たっては、事前にジェトロのウェブサイト上にある「商談スキル」に関する動画を何回も視聴。ストーリー展開を含めて入念に準備したことが功を奏した」とするところもあった。

商談会翌日の20日には石川県、富山県の水産加工品メーカー、しょうゆメーカー、果物農園、水産品市場を訪問。生産現場や製造工程を視察し、生産者の商品に対する熱意や丁寧なものづくり、商品が作られた自然環境や歴史、文化などについて、海外バイヤーに肌で感じてもらった。

産地の視察（ジェトロ撮影）

（齋藤寛）

（石川、富山、福井、新潟、米国、コロンビア、フランス、スペイン、インド、マレーシア、アラブ首長国連邦）