2024年の貿易額は輸出入ともに増加、輸出はAI関連需要が牽引(台湾)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月29日 0時0分
台湾財政部が1月9日に発表した貿易統計(速報)によると、2024年の輸出は前年比9.9%増の4,750億7,317万ドル、輸入は12.2%増の3,944億6,523万ドルで、貿易収支は806億794万ドルの黒字だった(添付資料表1、2参照)。
輸出を国・地域別にみると、最大の輸出先である中国向けは1.3%増にとどまったほか、香港向けも5.1%減だった。輸出全体に占める中国および香港のシェアは31.7%となった(添付資料図参照)。中国および香港のシェアは、米国が対中追加関税を発動した2018年以降、減少傾向が顕著になっており、2018年比では9.6ポイント低下した。このほか、ASEANは15.1%増、日本(17.8%減)と欧州(8.6%減)は減少した一方、米国は46.1%増と大きく伸びた。米国向けのうち伸びが大きい品目は電子部品(92.6%増)と情報通信機器(81.5%増)だった。米国が輸出に占めるシェアは、2024年は23.4%となり、2018年比では11.6ポイント増加した。
輸入を国・地域でみると、主要国からの輸入は多くがプラスとなり、最大の輸入先の中国は12.9%増、ASEANは20.1%増、米国は13.7%増、日本4.8%増だった。一方、香港(11.1%減)と欧州(1.8%減)、中東(6.8%減)は減少した。
輸出を商品別(注)にみると、人工知能(AI)関連製品への需要が高く、高性能コンピューティング(HPC)やAIサーバーなどを含む情報通信機器が59.0%増となり、輸出全体を牽引した。このほかの主要品目では、電子部品(0.8%減)、卑金属および同製品(0.7%減)、一般機器(0.4%減)などがいずれも減少した。輸入は、輸出が好調な情報通信機器関連の品目が増加した。具体的には、電子部品(28.3%増)、情報通信機器(40.5%増)、卑金属および同製品(16.6%増)、光学および精密機器(16.9%増)が2桁増だった。
財政部は今後の見通しについて、地政学的動向や米国新政権の経済貿易政策といった不確定要素はあるものの、AIの応用関連需要が引き続き拡大しており、台湾の半導体企業はそれに使用される先端プロセスの生産に強みを持つことから、2025年第1四半期(1~3月)の輸出は安定的に増加すると予想した。
(注)HSコード改正(HS2022)に伴い、2023年6月から「光学器材」に分類されていた輸出品目の一部が「情報通信機器」に分類された。また、「光学器材」の範囲が拡大され、「光学および精密機器」に名称変更になった。
(江田真由美)
(台湾)
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