2025年の米小売店閉鎖数は2020年以降最多の約1万5,000店に達する見通し(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月29日 0時20分
米国調査会社のコアサイト・リサーチによると、2025年の米小売業店舗閉鎖数は約1万5,000店に達すると見込まれている。これは2024年の7,325店舗の2倍以上で、2020年の新型コロナウイルスのパンデミック最盛期(約1万店)以降で最多となる。一方、2025年の小売店の新規開業数は約5,800店舗と、ほぼ横ばいで推移すると見込む。2024年から2年連続で店舗閉鎖数が開業数を上回る見込みで、多くの企業が苦境に立たされることが予想されている。
米国の格付け会社S&Pグローバルが発表している統計では、2024年の倒産件数は14年ぶりの高水準に達している。分野別にみると、最も多くの閉鎖が見込まれるのは、主に裁量的な商品を販売する専門店や、薬局チェーン、百貨店となっている。個別企業では、2024年12月に破産法第11章を適用したパーティー用品販売を手掛けるパーティー・シティの店舗閉鎖数は738店舗に上った。そのほか、2024年9月に経営破綻したディスカウント大手のビッグ・ロッツ(601店舗、2024年9月18日記事参照)や、薬局チェーン大手のウォルグリーン(333店舗、2024年7月3日記事参照)も、不採算店舗の大規模な店舗閉鎖計画を進めている。
インフレの長期化で、消費者が商品価値と利便性を同時に探し求めるようになり、小売事業者は価格競争にさらされている。この結果、アマゾン、コストコ、ウォルマートといった大規模な小売業者が市場シェアを拡大する中で、より小規模なチェーン店や専門店は事業の縮小を余儀なくされている。
コアサイト・リサーチのデボラ・ワインスウィッグ最高経営責任者(CEO)は「インフレや、最安商品を見つけるためにオンラインで買い物をする消費者の嗜好(しこう)の高まりが2024年に実店舗の小売業者に打撃を与えた」と述べた上で、「サプライチェーンを適応させ、テクノロジーを導入してコストを削減できなかった小売業者は大きな影響を受け、消費者は最も心理的な抵抗の少ない道を選択する傾向が続いている」と指摘した。
なお、スイスの金融機関UBSのアナリストによると、電子商取引(EC)のさらなる普及によって、今後5年間で約4万5,000の米国内の小売店舗が閉鎖すると予測している。賃料の高騰や賃金の上昇に加え、小売業のあらゆる分野でデジタル化が進み、銀行による小売業者への融資意欲の欠乏が閉店を加速させる可能性があると警告していた(「マーケットウォッチ」2024年4月24日)。
(樫葉さくら)
(米国)
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