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米財務省、2023年下半期までの為替報告書を公表、経常収支と貿易黒字理由に日本を監視対象に追加(米国、日本、中国、台湾、シンガポール、マレーシア、ベトナム、ドイツ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月24日 14時40分

米国財務省は6月20日、為替政策報告書を公表した。同報告書は半期ごとに議会へ提出しており、財・サービス貿易の輸出入総額上位20カ国・地域を対象に、今回は2023年12月までの1年間の為替政策を分析・評価した。

今回の報告書では、バイデン政権発足以降のこれまでの6回と同様に、「為替操作国・地域」に該当する国・地域はないと結論付けた。為替操作国・地域の認定は、2015年の貿易円滑化・貿易執行法に基づく3つの基準(注1)の全てを満たしているかどうかを基に判断する。「為替操作監視対象」リスト(注2)には、前回の報告書(2023年11月14日記事参照)で対象となっていた中国、ドイツ、マレーシア、シンガポール、台湾、ベトナムの6カ国・地域のほか、新たに日本が加わった。

日本がリストに加えられたのは、前回も基準を満たしていた対米貿易黒字(2023年は624億ドル)に加え、経常収支黒字(GDP比3.5%)が今回該当し、2つの要件を満たしたことが要因。経常収支黒字の拡大は、原油価格の下落や外国人観光客数の急激な回復を反映したものだ。なお、為替介入については、2024年4~5月に日本が円買いドル売り介入したとの事実関係を紹介しているものの、外国為替介入を定期的に報告しており、透明性があるとして、特段問題視するような言及はない。

中国については、2023年の対米貿易黒字は2,540億ドルと、米国の中国からの輸入シェアの減少などを受けて、2022年から縮小したものの、米国の貿易相手国・地域の中で圧倒的に大きいと指摘したほか、経常収支黒字と為替に関しては、複数ページを割いて問題点を列挙している。

経常収支黒字については、GDP比で1.4%に縮小(2022年は2.5%)したものの、コラムを設けてデータの信頼性に疑問を投げかけている。具体的には、(1)中国が発表している国際収支データは貿易黒字が貿易相手国のデータなどから推定されるよりもはるかに低い、(2)国外の金利が上昇しているにもかかわらず、投資収入が減少しているという2つの異常の結果、経常黒字が減少していると指摘。これらの点に関し、財務省は中国当局に一層の明確な説明を行うよう求めていると記した。

為替レートに関しては、前回同様に、管理体制の政策目標やオフショア人民元市場での活動など、為替レートメカニズムのカギとなる点について、非常に限られた透明性しか提供していないと指摘。具体的には、(1)2023年半ば以降、中国人民銀行(中央銀行)は為替レートの下落圧力がかかった時に為替レートを公然と管理している、(2)市場筋の報告では、中国の国有銀行が中国当局の指示の下で人民元安に抵抗する動きを取っている、(3)当局が人民元安圧力に対抗するための規制・行政措置を実施しているなどと指摘した。

そのほかの為替操作監視対象国・地域では、台湾、ベトナム、ドイツについては対米貿易黒字と経常収支黒字の2つの基準を、シンガポールについては為替介入と経常収支黒字の2つの基準をそれぞれ前回報告書と同様に満たしているとした。マレーシアについては今回基準を超えた項目は対米貿易黒字のみだった。

(注1)財・サービス貿易の輸出入総額上位20カ国・地域を対象に、(1)大幅な対米貿易黒字(年間150億ドル以上の財・サービス貿易黒字額)、(2)GDP比3%以上の経常収支黒字、または為替レート評価フレームワーク(GERAF)を用いて、財務省が実質的に経常収支「ギャップ」があると推定した場合、(3)持続的で一方的な為替介入(過去12カ月間のうち8カ月以上の介入、かつGDP比2%以上の介入総額)という3つの基準。

(注2)上記3基準のうち2つに該当した国・地域は「監視対象」リストに登録される。登録されると、少なくとも今後2回の報告書で監視対象国・地域として取り上げられ、3つの基準での改善が一時的でなく、永続的なものとなっているかどうかについて評価される。

(加藤翔一)

(米国、日本、中国、台湾、シンガポール、マレーシア、ベトナム、ドイツ)

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