第3四半期のGDP成長率は前期比マイナス0.7%、2期連続マイナスで景気後退入り(ハンガリー)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月6日 0時35分
ハンガリー中央統計局は10月30日、2024年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率を発表した(プレスリリース)。同速報値によると、前期比マイナス0.7%(季節調整済み)となった。2四半期連続のマイナス成長(第2四半期はマイナス0.2%、2024年8月5日記事参照)となり、テクニカル・リセッション(景気後退)に突入した。
前年同期比(季節調整済み)でもマイナス0.7%で、「経済の約3分の1を占める農業、工業、建設業の業績悪化が、GDP成長率の前年同期比減少に約2ポイント影響を及ぼした」とした。
国家経済省は、不況の主因の1つは最大貿易相手国であるドイツの経済不振の長期化で、これはハンガリーの産業、特に輸出の主要な原動力である自動車産業やバッテリー産業に悪影響を及ぼしているとコメントした。
報道陣の取材に応じた経済アナリストは、予想を下回る経済成長率になったとし、高金利やエネルギー価格の高騰、 産業界の構造的な課題によって悪化した投資が原因だと分析した。また、EU基金が産業の実績を十分にサポートできないことも指摘した。最近のIMFやハンガリー国立銀行による経済予測と同様、同経済アナリストも、2024年通年の経済成長率予測を従来の1.4%から下方修正し、0.5%を想定すべきとした。
一方、国家経済省は楽観的な見方をしており、ほぼ完全雇用であること、実質賃金の上昇、インフレ率の低下、観光業の活況、不動産市場の復調など、ハンガリー経済はすでに明るい兆しが見えつつあると述べている。また、10月16日に発表された新しい経済政策行動計画(注)にも大きな期待を寄せており、2025年の第3四半期には経済が好転するとしている。同省は、オルバーン・ビクトル首相が2024年9月末に発表した「経済的中立性」(2024年10月7日記事参照)も、ハンガリーの経済発展において重要な役割を果たすと強調している。
政府や経済アナリストは、寧徳時代新能源科技(CATL)、比亜迪(BYD)、BMW、セムコープ、エコプロなどによる最近の大型投資が同国経済に好影響を及ぼすことを期待している。
(注)経済政策行動計画は、3つの柱(所得増加による購買力の上昇、手頃な価格の住宅の提供、中小企業の発展)に基づいており、21の分野(最低賃金の引き上げ、中小企業への融資や補助金の提供など)で対策を講じている。政府は2025年に3%以上の経済成長を目標としている。
(バラジ・ラウラ)
(ハンガリー)
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